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ゴールデン・ボーイ
『ゴールデン・ボーイ』
原題;Apt pupil
(1998年・アメリカ)

ロスに住む、成績優秀でスポーツ万能な少年トッド。
彼は、高校の歴史の授業がきっかけで、ナチスのホロコーストに興味を抱く。
図書館などで研究を始めるうち、ある日、同じバスに乗り合わせた老人の正体が、元ナチス将校で、アウシュビッツ収容所の副所長だったクルトだったことを知る。
彼は戦争犯罪人として、世界中で指名手配されていた。
トッドは、彼の正体を暴露すると脅しをかけ、老人が、かつて収容所で行った残虐な行為を聞き出そうとするが、それとともに、トッドの中にも、今までに感じたことのない悪の感情が芽生え始め・・・。

「ゴールデン・ボーイ」と聞くと、まず、寺沢武一の『コブラ』を思い出してしまうのですが。
でも、映画の原題は、スティーブン・キングの原作のタイトルと同じで、「よく出来る生徒」、「優等生」みたいな意味。
多感な時期の少年が、その世代にはありがちな、悪に興味を持ち、しかも、それが、興味本位で触れてはいけなかった、あまりに邪悪なものだったため、禁断のパンドラの箱を開けてしまったが如くに、道を踏み外してしまう・・・という、そんな内容を指したタイトルだと思うのですが。
それが、なぜ、『ゴールデン・ボーイ』になったのかは、映画を見た限りは謎でした。
原作の翻訳時に、このタイトルがつけられているので、映画の邦題も、そのままつけたものなのでしょうが。

しかし、はっきり言って、原作のスティーブン・キングという作家が、私は苦手なのです((^^;;
映画では何作か、好きなものもありますが(『デッドゾーン』とか、『ショーシャンクの空に』とか)、多くの作品の中に潜み、描かれる、人間の邪悪性が露骨過ぎて、どうも・・・。
なんだか、そこまで醜い感情や、憎悪を曝け出さなくても良いんじゃ・・・と、つい、思ってしまいます。
負のエネルギーをまともに受けてしまうような、そんな感じがして、イヤ~な気分が残り、重苦しく感じてしまうのですよね。
しかし、この映画、原作のほうは、もっと、描写がスゴイらしいですね。
やはり、映画にする際は、映像になってしまう分、残酷な描写などを極力、抑えたのでしょうか。

そんな、苦手な内容の映画を見てみようと思ったのは、ひとえに、イアン・マッケランが出ていたから★
映画『ロード・オブ・ザ・リング』のガンダルフ役で、日本でもメジャーになった人ですよね。
『ロード・・・』の登場人物の中で、ガンダルフは二番目に好きな人なのです(笑)
「アクターズ・スタジオ・インタビュー」に出ていたときの、気さくな人柄に触れて、ますます、好きになりました。

そのイアン・マッケランは、この『ゴールデン・ボーイ』では、元ナチス将校の老人役。
今作では、彼の演技が、とにかく、スゴイのです。

世間の目を逃れて、ひっそりと、一人で暮らしていたはずの老人が、少年に脅され、長い間、自らの内に封印してきたはずの記憶を語り始めます。
やがて、少年の支配欲が目覚め、強い怒号を浴びせられるときの彼は、不本意に虐げられる弱々しい老人でしかないのですが・・・少年によって、再び、身体に染み付いていたナチス時代の記憶が蘇ったとき。
それまで、弱者側だったはずの老人の表情に、まるで、掌を返したかのように、かつてのサディスティックな一面が表れるのです。
その表情の変化、狂気を孕んだ残虐性。

そして、かつて、支配階級だった頃の制服を身に纏い、鏡に写った自らの姿を一人、見つめるときの、エロティックさすらも感じさせる、老人の恍惚とした表情・・・。
老いた、深い皺だらけの顔なのに、その陶酔した様が、あまりに色っぽく、ある種の戦慄が、ぞくっと走ります。
それが、彼の性癖から来るものなのかどうかは、分かりませんが、でも、彼以外の老人に、セクシーさを見出すことが果たしてあるだろうかと思うと・・・((^^;;
神々しい白い髭の人を演じるときとは、百八十度違った、邪悪な面や、何十年経っても忘れることの無いほど、心底、身についてしまった残酷さを演じてみせる、イアン・マッケランの確かな演技力は、この作品ならではでしょうし、そういう意味では、一見の価値ありではないかと思います。
(ただし、この種の映画が苦手でなければ、ですが((^^;;)

ストーリーとしては、たぶん、原作がそうなのでしょうけれど、支配関係がもたらす、恐るべき人間の感情の変化が、たぶん、正確に描かれていると思います。
だからこそ、ホロコーストのような悲劇が、同じ人間の手で行われたのでしょうし・・・。
また、スティーブン・キングお得意の(?)、少年が大人になる、一瞬の狭間を描き、いみじくも、こういう手段で大人への階段を上ることになってしまった少年の悲劇を描いています。
でも、そこに、ちらちらと見え隠れするのは、「自業自得」という言葉。
少年の過ちを、過ちとして断罪してしまう。
そういう救いの無さが、やっぱり、いつも、シビアな現実を突きつけようとするスティーブン・キングらしいと言えるのかなあ。

見終わったあとの後味は、良くないですが、ストーリーテラーたる原作者の力量もあって、少年と老人の支配関係の駆け引きや、先が読めない物語の展開には、いったいどうなるのかと、ハラハラさせられます。
人間の恐ろしさや、隠された悪の一面を、ついつい、興味本位で覗き見たくなるのは、どうしようもない、人間のサガ。
そういう意味で、ドキドキしてみたい場合には、おすすめのサスペンス映画かも知れません。

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そういえば、主役の少年については何も書いていませんでした((^^;;
うーん・・・この髪型が、いわゆる、優等生タイプ?
ちょっと生意気なカンジが鼻について、あまり、同情できなかったかなあ・・・。
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by akiko_mama | 2005-02-06 10:23 | 映画