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映画の感想日記

by akiko_mama
スモーク
『スモーク』
原題;Smoke
(1995年・アメリカ・日本)

ニューヨークはブルックリンの街角に、一軒の煙草屋があった。
主人のオーギーの元には、毎日、常連たちがやってきて、煙草を吸いながら、さまざまなことを、しゃべっていく。
そんな常連の中に、小説家のポールがいた。
ポールは数年前に妻を亡くし、それ以来、一人きりで、この街に暮らしていた。
仕事が進まずにいた、その日も、ぼんやりと舗道を歩いていたポールは、ふらっと車道に出てしまい、車に轢かれそうになる。
それを助けたのが、ラシードと名乗る黒人の少年だった。
その御礼にと、数晩の宿をラシードに提供するポール。
だが、ラシードが出て行ったあと、彼の叔母だという女性が部屋にやってきて、彼は、そんな名前ではないし、帰ると言っていた家にも帰っていないと聞かされて・・・。

小説家ポール・オースターが書いた「オーギー・レンのクリスマス・ストーリー」という短編を素材にして、ポール・オースター本人による脚本をもとに、撮影された映画です。
ハーベイ・カイテル演じるオーギーと、ウィリアム・ハート演じるポールを中心に、彼らとその周囲の人々を描いた物語は、淡々としていながらも、どこか暖かみに満ちていて。
どこにでもいる普通の人々の生活の中の、ちょっとした出来事。
そんなエピソードが丁寧に積み重ねられていて。
決して、ダイナミックな展開があるわけじゃないけれど(小さな波は、まあ、それなりに((^^;;)、じっくりと、かつ、のんびりと、楽しめる映画です。

昨年の春に、NHK-BS2の衛星洋画劇場でニューヨーク特集があったときに放映になったので見たのですが、またもや、今回も、見てしまいました★
でも、何度見ても、人情味溢れる物語には、じんわり来てしまいますねえ。
くたびれたような煙草屋のオヤジという風情の、ハーベイ・カイテルが本当に上手いし(映画ラストのモノローグ部分での演技と言ったら!)、その相手役が、これまた演技派のウィリアム・ハートなんですから(><)
言って見れば、街のオヤジたちの物語?
そこに、ふとしたことから出会うことになった少年が絡んでくるんです。

トム・ウェイツの、何とも言えないしわがれ声で歌われる曲が挿入歌になっていて、これもまた、雰囲気を出してます。

95年ベルリン映画祭金獅子賞受賞。
95年度キネマ旬報外国映画ベストテン第2位。

味のある映画というのは、こういうのを言うのだなあ、と思います。

スモーク_a0019299_2252173.jpg


ちょっと、誤解を生みそうなジャケットですが((^^;;
(ウィリアム・ハートを出さなくていいのか?(笑))
映画ラストになって語られる、「クリスマス・ストーリー」からの1シーン。
心温まる演技には脱帽です。
by akiko_mama | 2005-06-05 22:53 | 映画