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カテゴリ:TV( 12 )
THE・少女マンガ! ~成田美名子
『BSこだわり館 THE・少女マンガ! 作者が語る名作の秘密』
CIPHER ~成田美名子~
(NHK-BS2)

やってきました!
今回の3回シリーズで、実は、一番楽しみだった回です。
というのも、かつて、成田美名子先生(以下、敬称略)がメディアに出てきたことって、無かったと思うから。
私も、今回初めて、お顔を拝見しましたが、ああ、こんな方だったんだ~、と思った次第です。
物静かな、とっても可愛らしい方ですよね。(年上の方に失礼ですが((^^;;)
もう、何年も前に、実家に住んでいた頃、同じ市内にあったマンガ専門店で、珍しく、成田さんのサイン会があったことを、あとで知り、行きたかった~(><)と地団駄を踏んだこともありました☆
(今回の番組でも、そのときの写真が出ていましたね。書店名がバックに・・・)

成田さんも、私にとっては、特別なマンガ家さんです。

一番最初に、成田さんのことを知ったのは、友達から『LaLa』本誌を借りて読んだときかな?
その時点では、たぶん、「あいつ」の連載中だったかと。
その後、「エイリアン通り(ストリート)」の連載が始まって、それから、大ファンになっていき、今に至ると。

今回の番組で、入院中だった従姉妹のお見舞いを買うお金が欲しくて、デビュー作となる「一星へどうぞ」を投稿した、というエピソードが紹介されたのには、ビックリでした((^^;;
従姉妹のちあきさんのことは、よく、名前が出てくるので、知っていましたが、まさか、そんな経緯がお二人にあったとは思いもしなくて・・・。

確か、その、「一星へどうぞ」も、私は雑誌で読んだ覚えがあります。
『LaLa』を私に教えてくれた友達が、昔の本誌を大事に持っている人だったので、借りて読んだんですよね。
もう、それを見て、高校生のデビュー作が、こんなに上手かったのか!とオドロキでした。

そして、「エイリアン通り」連載開始直後ぐらいから、自分でも『LaLa』を買い始め、かなり長い間、買っていましたが、やっぱり、いつも、雑誌を買ってきて、一番楽しみだったのは、成田さんの作品だったし、一番、驚きを与えてくれるのも、成田さんでしたね。
やはり、「エイリアン・・・」は、特別だったと思うんです。
その作品が連載された当時にしては、とても珍しかった、アメリカの生活を細かく描いている点には、毎回、驚かされて、まるで、アメリカを舞台にしたドラマを見ているようでしたもの。
当時、海外の情報なんて、今ほど入ってきてなかったし、海外ドラマも、そんなに放映してなかった頃だったから。
だから、誌面に描かれた何もかも全てが、とっても、カッコ良く、魅力的に見えて。
その上、主人公である、美少年のシャールくんは、いつも、キラキラしていましたし~(笑)

「エイリアン通り」は、アメリカへの憧れと、個性溢れるキャラクターたちの生き生きとした活躍が、ぎっしりと詰まったマンガだったと思うのです。

カレンダーも毎年、買ってました~。
成田さんのカラーは、とても綺麗で、服や雑貨の細かい部分まで細部に渡って、丁寧に、そしてリアルに描かれていて。
カラー原稿一枚をとっても、毎回、成田さんが描かれるものには驚かされてましたね。

それだけの驚きを、毎月、『LaLa』誌上でもらっていた「エイリアン通り」だったので、これは、それを読んでいた年齢にも関係しているのでしょうが、私にとっては、むしろ、「CIPHER」よりも、「エイリアン通り」のほうが、印象が鮮明で、強かったりします。
受けた影響も大きかった気が。
ある意味、カルチャーショックを毎回、受け続け、刺激を与えられていたマンガでしたから。

次に『LaLa』誌上で連載となった「CIPHER」でも、毎回、楽しませてもらってましたが、その「楽しみ」が、「エイリアン・・・」とは、違ってきていたかな?

番組内でも成田さんが語っていましたが、作品のテーマが、夢のような世界を描いていた「エイリアン通り」とは、明らかに違ってきてましたもんね。
アメリカン・ライフを描いてはいるんだけど、そこに描かれているのは、少女たちの憧れを具現化したキラキラしいものじゃなく、地に足をつけた人間の、つらい過去を抱えながらも、生きていこうとする姿でしたから。
生活習慣や言葉が違っても、シヴァもサイファも、私たちと同じ気持ちを持っている人間なんだ、悩みもすれば、苦しむこともある、ということが前面に押し出されていた気がします。

その後、成田さんが描いていくマンガの、一本のゆるぎない芯が、ここで確立されたというか。
主人公たちが、いろんな人と出会い、さまざまに人と関わっていくことで、成長していく青春模様を、その舞台がアメリカや日本、どこになろうとも、ずっと、描き続けていますよね。
主人公たちは、いずれも等身大だし、つらいことがあっても、諦めない。
その様子がとても真っ直ぐに描かれていて。
私にとって、青春という時代が遠くなった今でも、やはり、成田さんのマンガを読むことで、その時代特有の熱さを思い出すというか。
愚直なまでに、ストレートな直球で迫ってくる物語が、胸に、ぐっと熱いものを感じさせてくれる。
成田さんは、正攻法という言葉が似合いそうなほど、どの作品でも、友情とか、勇気とか、優しさとか、そんなありふれた感情を真っ直ぐに捉えて描いていける作家さんだと思うのです。


ところで、成田さんといえば、いろいろな趣味(ハマってること)について、いつも、単行本に、いっぱい描かれてますよね★
昔は、M・ジャクソンや、トンプソン・ツインズ(私も成田さんの影響で、ハマりましたよ!)、ブラック・ミュージック、それから、アメリカのNBAを経て、今は、お能と。
今まで、御本人のお写真も見たことがなかった成田さんでしたが、そうやって、今は、何に関心があって、何にどっぷりハマってるかを、詳細に書き続けてくれる方でしたから、そういう点でも親近感があったというか。
偉いマンガ家さん、というよりも、年上のお姉さんみたいなカンジ。
そして、いつも、時代を先取りされていて。
そういう点で、ある意味、ファッション・リーダーじゃないですが、成田さんのハマっていることに、いつしか、読者も、引きずられるように、ハマっていくんですよね~(笑)
作品内で、その趣味が生かされている(?)からかも知れませんが★
今は、お能にどっぷりの成田さんですから、「花よりも花の如く」を読むことで、私を含めた読者もまた、成田さんの御趣味であるお能に、知らぬ間に、通じていくという(笑)
「私についてきて~」と成田さんが旗を振って、みんなの前を歩いていく、みたいなカンジですかね?
そして、後をついていった私たちが、へえー、ほおー、と言いながら、いろんな場所を見せてもらう、というか。
そんな身近な存在にも感じてしまう作家さんって、成田さんしかいないなあ、と思うのですよ。


そういえば、話はまったく変わりますが、「エイリアン通り」のシャールくんの本名、「シャール・イダニス・モルラロール」が、C・L・ムーアというSF作家の、『大宇宙の魔女』、『暗黒界の妖精』、『異次元の女王』という、ノースウェスト・スミスシリーズに出てくる神様の名前というのは、今のファンの方などは御存知なのかな?
CLムーアの本自体、今は絶版ですもんね~((^^;;
これは、80年代前半に、一部のファンの間では、かなり人気のあったSFなのです★
私が、「エイリアン通り」を読む前に、このNW・スミスのシリーズを買っていたのは・・・表紙が松本零士で、挿絵に描かれた、主人公のNW・スミスが、もろ、キャプテン・ハーロックだったから(爆)
いや、そういう理由で、ハーロックのファンには、結構、知られた作品だったのですよ~。
NW・スミスの相棒である、ヤロールが、信仰している神様の名前として、よく、作中で呟かれていたのが、「シャール・・・」だったのです。

そして、このヤロールが、シャールくんのモデルになったとか、ならないとか★
もちろん、松本零士の挿絵では、全然、違うんですけども。
でも、文中の描写では、金髪の綺麗な青年で(でも、異星人だから、耳は尖ってたと思う・・・(笑))。
ちょっと意地っぱりなところとか、シャールくんに似てるかな・・・?
まあ、そういう「エイリアン通り」関係のことが無くても、このNWスミス・シリーズは、幻想的な異世界を描いた、素晴らしいSFで、松本零士の描く女性も、見事にマッチしていた作品でした。
実家に置いてあるので、また読みたくなってしまいました★


何だか、いろいろと、取りとめもなく書いてしまいましたが((^^;;
それだけ、成田さんには、個人的な思い入れがあるということなのですよね~★
まだまだ、いっぱい、書き足りないことがあると思うもん(笑)

今回、番組を見て、今まで、作品やコメントを通じてしか知らなかった成田さんの姿を見て、また、さらに、成田美名子という作家が好きになったというか。
また、新しい視点で、「エイリアン通り」とか「CIPHER」を読み返してみたいなと思いました。


現在、「メロディ」に連載中の『花よりも花の如く』については、本の森の冒険に、単行本の紹介コメントを書いたりしてます。
これからも、成田さんの作品は、ずっと読み続けていきたいし、そこで描かれる世界に、どっぷりとハマっていきたいなとも思うのです★


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by akiko_mama | 2005-09-03 13:03 | TV
THE・少女マンガ! ~水野英子
『BSこだわり館 THE・少女マンガ! 作者が語る名作の秘密』
星のたてごと ~水野英子~
(NHK-BS2)

以前、『BSマンガ夜話』に「星のたてごと」が取り上げられたときにも、思ったことですが、このマンガは、少女マンガの第一歩を決定づけた、記念すべきマンガなんだなあ、と。
(ちなみに、その晩の『マンガ夜話』では、なんと、FAXが3枚しか来なくて、うち一枚は私の絵でしたが・・・)
でも、昔の私には、そんな意識は全く無くて、何も知らないまま、幼少の頃、この「星のたてごと」(一番初期の朝日ソノラマ版)を買ってもらっていたんですよね。
それが、実は私が生まれる、ずっと前に書かれたマンガだったことも知らずに。

「星のたてごと」は、私にとっても、初めて買った少女マンガのうちの一つだったんじゃないかな?
それまでは、アニメを見て、「海のトリトン」を買ってもらったぐらいだったから。(←でも、これは、アニメとは全く違う展開の、大人向けのマンガだったんですが(><) だって、トリトンがお父さんになって、ピピとの間に7匹の子供が生まれて、最終巻では、その子供のうちの1匹が主人公になっちゃうんだもん~っ)
いや、まあ、トリトンは、この際、どうでもよくて((^^;;

この番組の中のインタビューで、里中満智子先生や、竹宮恵子先生が、まだ小学生の頃に、この「星のたてごと」を読んで、とても影響を受けたという話を聞いて、ますます、すごいマンガだったんだ、と改めて思った次第です。
もちろん、水野先生が、あの「トキワ荘」に唯一、女性のマンガ家として住んでいた方、という点だけでも、驚くべきことではありますが★

絵を描くのは、小さい時から好きだったらしく(4歳のときには、ウルトラマンを描いてた)、ちょうど、「ベルばら」ブームの頃、当時、小学四年生くらいだった私も、その華麗な世界を真似て、綺麗なドレスのお姫様の絵を、いっぱい描いたりしていたのは覚えているのですが、「星のたてごと」を読んだのは、まだ、小学校低学年だったので、その絵を真似て描いたことは一度も無かったと思うんですよね。
だから、『マンガ夜話』用にFAXを描いて送るときも、はて、いったい、誰を描けばいいんだろうと思って(笑)
リンダとか、ユリウスは、私にとっては、真似して描く、というキャラじゃなかったし・・・。
それで、登場人物の中でも、昔から大好きだった、リンダのお父様、伯爵さまを初めて描いて送ったという・・・。
地味な選択だったなと、あとで思いましたが(笑)
だって、昔、このマンガを読んでいたときも、ユリウスにときめいたりは、全然しなかったんだもん~((^^;;
むしろ、一番、ときめいて、好きだったのは、実は、リンダのために、怪我をして囚われ、鞭打たれてしまうお父様、シャロット伯爵だったのでした・・・。
そうか、この頃から、私のオヤジスキーが芽生えていたのね!
(小学校低学年の頃からの、肝いりだったか)
次に好きだったのは、ユリウスの義兄だったかな?
うーん、やはり、王道には行かないなあ・・・((^^;;

でも、私の中では、今、改めて考えてみると、「星のたてごと」からは、絵よりも、むしろ、その壮大なストーリーに、大きな影響を受けたかな、と思うのです。
もちろん、絵も、スクリーン・トーンをほとんど使用しない、シンプルな線なのに、ゴージャスで、古代の歴史ロマンスという世界がとても素晴らしく、描かれているマンガなのですが。

竪琴を奏でる、旅の吟遊詩人・ユリウスと、伯爵の娘、リンダとの恋。
でも、彼は、実は、敵対する隣国の人間であり、さらに、時をさかのぼれば、神の娘であったリンダが、傷つき、死の国へ赴こうとしていた前世でのユリウスに恋したことから、始まっていた。
そして、父神の怒りに触れて、地上に落とされたリンダには、ある使命が課せられていて・・・。

黄金の指輪を巡る、壮大なロマンス。
国を操ろうとする大人の思惑により、何度も引き裂かれてしまう二人の恋人の運命と、二転三転していく物語が含有する、圧倒的なスケールの大きさ。

この、とても奥深いストーリーが、まだ、「少女マンガ」というものが、生まれてまもない、1960年という時代に発表されたということが、後の少女マンガ界を担う世代に大きな影響を与え、「少女マンガ」の枠を大きく広げたというのも、頷けることです。
むしろ、それまでの「少女マンガ」とは一線を画した、このマンガが彗星のごとく登場したということ自体、奇跡のような気がしますが。

その記念すべき不朽の名作といわれる作品を、何も知らなかったとはいえ、幼少の頃に読んでいて、それが、幼かった頃の自分に大きな影響を与えて、今でも、とても深い場所で息づいているというのは、嬉しいことです。
やはり、私にとっては特別な作品というか、今も、あの絵を見ると、他の作品にはない、ときめきを感じてしますもんね(><)
小さいときには、このストーリーに似たお話を勝手に作って、よく、一人でお人形遊びもしていましたし☆ そうやって、何度も、このお話を自分なりになぞって、無意識に反芻していたんでしょうね~。

そして、「星のたてごと」掲載から、45年が経った今。
65歳になられた水野先生は、今も、まだ、丸ペンを握って、ケント紙に綺麗なイラストを描かれていました。
65歳という年齢で、マンガを描いてらっしゃる女性って、他にいるでしょうか!
そのお年でも、全く、絵柄は変わっていなくて、今も、昔と変わりなく、繊細で、華麗なロマンスに彩られた絵を描いてらっしゃって、本当に驚きでした。
まるで、時間が止まってしまったかのような。
普通、マンガ家って、絵がどんどん変わっていくものなんですよね。
慣れからか、ベテランにもなると、大まかな、崩れた絵になってしまうというか。
でも、水野先生は、二十年ほど前の絵柄と、全く変わってない。

ただ、今の出版業界では、水野先生のマンガを掲載しようという雑誌は、残念ながら無く、連載途中で掲載誌が廃刊となった『ルードヴィヒ二世』も、2巻で刊行が止まったままだとか。
そんな状況の中で、水野先生は、どこかに掲載される予定もないまま、今も、イラストやマンガを、マイペースで描き続けてらっしゃるそうです。
この番組で、それを知り、この方は、マンガ家というよりも、芸術家なんだなあ、と思いました。
自分が描きたいもの、つまり、夢やロマンスに満ちた世界を永遠に描き続ける人なんだ、と。

出版形態も、さまざまに変容しつつある今日、少女マンガの原点とも言うべき、水野先生の作品を、雑誌掲載でなくとも、何らかの形で、もっと読んでみたいって人は、私のほかにもいるんじゃないかな、と思うのですが。
(先生の、ほとんどの作品が、現在は入手不可能か、絶版状態なので)
これだけ描ける人を、このまま、放っておくのは、不遜ながら、もったいないと思うし、大きな損失なんじゃないかと思うのです。
数十年前とは違い、マンガは細分化され、もう、子供のものだけじゃなく、大人に向けて描かれたマンガも、ちゃんと成立している時代です。
「星のたてごと」を読んで育った世代、そして、そのマンガを知らない世代にも、もっと、水野先生の活躍を見てもらえればいいのにな、と思いました。

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by akiko_mama | 2005-09-02 09:48 | TV
THE・少女マンガ! ~槇村さとる~
『BSこだわり館 THE・少女マンガ! 作者が語る名作の秘密』
愛のアランフェス ~槇村さとる~
(NHK-BS2)

前回の3回シリーズから見ていたこの番組。
今回は、8/29から3回放送ということで。

槇村さとる先生は(以下、敬称略)、しばし、ハマっていたマンガ家さんでした。
と言っても、今回、主に取り上げられた『愛のアランフェス』ではなく。
持っていたのは、『ダンシング・ゼネレーション』から『NYバード』、そして『ダイヤモンド・パラダイス』あたりまで。
レディースに移られてからは全く読んでないので、分からないのですが。

ただ、人気作『愛のアランフェス』からの流れで、今度はモダン・ダンスを取り入れた(スポーツ)マンガが気に入っていたのは、ダンスの好きだった女子高生という主人公が、自立しながら、夢を追い続け、栄光と挫折の繰り返しの中で、自らの夢を掴み取ろうとする、その勝気さ、強さが自分もほしかったせいかもしれない、と今では思うのです。
ちょうど、自分も、そんな年代だったから。
この、槇村さとるという作家は、昔から、絵がしっかりしていて、綺麗だったけれど、どこか、全体的にドライな人だな、という印象はありました。
ダンスというスポーツ物(?)を描くからには、画面の中では、汗が飛び、ハツラツとした身体の動きがあるのに、そこに描かれる人間関係は、とてもドライ。
そこがまた、スタイリッシュで良かったのかも知れませんが。

今回の番組で、その後、しばらくして、槇村さとるに不遇の時代が訪れ、精神的にもボロボロとなり、本人が記憶障害にまでなっていたというのは、驚きでした。
初めて出したエッセイの中で、自身の生い立ちについての告白をされていたのを読んでいたので、あのマンガを描いていたのは、こういう人だったのか、と少しは分かったつもりでいましたが。
でも、あれから、さらに、いろいろあり、個人としてもマンガ家としても、復活も遂げて、レディースのほうで描いたマンガが、何本もTVドラマ化され、しかも、6年前には、性人類学者の方と、対談をきっかけに、43歳で結婚されていたというのを、先日知って、さらにビックリ。
しかも、そのパートナーとは、一緒にエッセイ本も出して、今では、AMAZONで見ると、マンガよりも、かなり上位に食い込んでいるほど。
それまで、少女マンガの世界では、驚くほど早くから、自立した女性を描いていた槙村さとるが、マンガの中に込めていたメッセージが、今度は、そのマンガを読んで育った世代に向けて、自らの結婚観や恋愛観について、エッセイで、パートナーとともに語り続けてくれている。

今回の番組を見てみても、やはり、槇村さとるとは、特殊なマンガ家だな、という印象を持ちました。
本人の、逆境に耐えながらも生きてきた、その意思の強さが、マンガの中に「生き様」として、そのまま現れている。
それは、描きたいのが、マンガとしてのキャラクターとしてでも、物語でもなく、自分が読者に伝えたいことを描くのだ、という、そのための手段であるマンガ。
番組の中でも紹介されていた、ストーリーを作るにあたって、まずは、伝えるべきメッセージは何か、という点から考え始め、徐々にストーリーを作っていくという、特殊な方法(こんなことをしているマンガ家が、他にいるのか?)からも、それは明らかでは?
普通、あるシーンとか、登場人物の会話とか、こんなキャラクターが描きたいとか、こんなストーリー展開を書きたい、とか、そういう点から、物語というものは、骨子を作っていくものだと思っていたので、槇村さとるの手法には、本当に驚くばかりでした。
だからこそ、メッセージ性の強いマンガとして、読者にインパクトを与えるんでしょうね。

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7月に発売になったばかりの対談集。
わたなべまさこ、山岸涼子など、先輩マンガ家から、岡田斗司夫、柳美里など、さまざまなジャンルの人と対談しています。パートナーのキム・ミョンガンさんとの結婚についての対談も。
こういう仕事をしている女性マンガ家、というのも、やっぱり、珍しいと思う・・・。
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by akiko_mama | 2005-08-31 01:26 | TV
ルワンダ
このところ、あまり映画を見ないので、最近見た、印象的なTVのことなど。

アメリカのTV局、ABCのワールド・ニュースが時折、NHK-BS1で流れるので、好きでよく見るのですが。
その中で、先日、たまたま見たのが、映画『ホテル・ルワンダ』で主演したことがきっかけで、先月、映画のプロモーションのために、ルワンダを訪れたという、俳優ドン・チードルのルワンダ・レポートでした。
以前、ABCのドキュメンタリーに協力したことが、きっかけで、ドン・チードルが、今回もルワンダ・レポに協力したとのこと。

今回、ドン・チードルは、幼い娘たちと奥さんとともに、ルワンダを訪れていました。
そして、家族とともに、現在、ルワンダに住む子供たちの過酷な状況を、彼らから直接、話を聞くという形でインタビューが始まりました。

ルワンダでは、夜、子供たちが寝ている間に誘拐されていくというのです。
そして、逃げることも出来ずに、レジスタンス軍の少年兵として育てられ、そこで生きていくためには、人を殺すことさえ厭わないよう、教育されてしまうのです。
実際、幼少の頃に誘拐され、少年兵として生きてきた少年の告白がインタビューで流れました。
もう、何十人殺したか、覚えていない、と彼は言いました。
でも、そうしなければ、自分がレジスタンス軍の中で生かしてもらえない。
だから、何の罪もない人々を、理由もなく、ただ殺してきたのだと。

一方、幼い少女たちはレジスタンス軍に誘拐され、兵士たちの妻にされてしまうということでした。
まだ、女性でもない彼女たちを、無理矢理。

そんな少年少女たちが、今では、NPOに何人も助け出され、NPOのテントで更正に向けて暮らしていました。
でも、非日常的で残酷な日々を過ごしてきた彼らの心が休まり、普通の生活に戻るには、長い時間がかかるそうです。

我が子を誘拐されないために、親たちは、夕方になると、子供をNPOのシェルターに向かわせていました。
夜、NPOの大きなシェルターには、何十キロも離れた村から、何時間もかけて歩いてきた子供たちが何百人と集まってきます。
狭くて堅い床に雑魚寝のようにして寝ることになるけれど、攫われるよりは良いからと。
そして、子供たちは無事に朝を迎えると、今度はまた、何時間もかかって、村まで歩いて帰るのです。
そのあとで、学校に行く子もいました。
毎晩、こんな生活が続くのです。
自分の家ですら、安眠できない子供がいるという、この国の現状。

一緒に、この話を聞いていたドン・チードルの下の娘さん(七歳か八歳くらいかな?)は、その晩、眠れなかったと言います。
そして、「パパ、アメリカでも、こんなことが、いつか起こっちゃうの?」と尋ねたとか。
やっぱり、同じ年代の子供が、世界のどこかで、こんな境遇にあったことは、幼い彼女にとっては、とてもショックだったことでしょう。

ルワンダでは、また、エイズで死亡する率も高く、両親がエイズで亡くなり、孤児となってしまう子供たちも多いとのことでした。


ドン・チードルが主演した『ホテル・ルワンダ』とは、1994年のルワンダ大虐殺を描いた映画です。
2004年度アカデミー賞に何部門もノミネートされ、また、ナショナル・ボード・オブ・レビューや、トロント国際映画祭などでも、賞を得ました。
しかし、残念ながら、ドン・チードルを始め、ニック・ノルティ、ジャン・レノ、ホアキン・フェニックスなど、有名な俳優が出演し、高い評価を得た、この映画は、日本では公開されていません。
私も、アカデミー賞の授賞式の映像で、ノミネート作品として、この映画が紹介されているのを、ちらっと見ただけです。
日本では、現時点では、DVDも発売されていないようですし、映画配給される予定も無さそうです。
でも、そんな、この映画をぜひ見たい、という活動も始まっていることを、今回、知りました。
『ホテル・ルワンダ』日本公開を求める会です。

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この映画についての解説や、活動内容なども紹介されています。
そもそもの活動の発端となったのは、ソーシャル・ネットワーキング・サイトmixi!の掲示板だったとか。
(というわけで、私もmixi!でのコミュニティに参加してみました★ だって、公開された暁には、絶対、見たいもの)
ブログが世界を動かすような、そんなステキなことが起こればいいな、と思います。

◆Cheadle Visits 'Hotel Rwanda' for 1st Time
ドン・チードルがルワンダを訪れたときのABCニュースの記事です。

◆HOTEL RWANDA Official Movie Site
もちろん、英語ですが・・・。

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アメリカでは、DVDが発売されています。
日本でも、発売されるといいなあ。
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by akiko_mama | 2005-08-28 19:37 | TV
終わらないアスベスト問題
『終わらないアスベスト問題~増加するがん患者』
NHK-BS世界のドキュメンタリー
(2005年・フランス・ポワンドジュール制作)

日本でも、アスベストによる中皮腫被害が大きく報道されている昨今ですが。
もう、とっくに、使用は禁止されているのに、かつて、これほどまでに、取りざたされたことってあったのでしょうか?
私は、あまり、記憶に無いのですが。
やはり、裁判所での既決で、労災認定されるようになり、それがあって初めて、企業や国が調査を行い、患者数や、仕事と病気との因果関係が明らかになっていったから?
でも、本来であれば、アスベストが使用禁止になった時点で、そういう調査が行われるべきだったのに、75年当時では(※吹き付けが禁止となった年。それ以降も、混入したものが使用されていた模様)、『静かな時限爆弾』であるアスベストと中皮腫との因果関係は、訴えが起こっていても、証明が難しかったのかも知れませんが・・・。

そんな、アスベスト問題が、97年に先立って沸き起こり、国中で問題となったのが、フランスでした。
このフランス製作のドキュメンタリーでは、97年にアスベスト全面禁止をシラク大統領が発表するまでの過程、そして、その後、フランスや、世界に何が起こったかを報道していました。
97年当時、フランスにおけるアスベスト全面禁止は「間違い」だと断定したのは、なんと、カナダの労働大臣でした。
カナダがアスベストをフランスに輸出していたからです。
最大の輸出先を失ってしまうことを恐れたカナダは、当時の労働大臣自身が、わざわざフランスを訪れ、アスベストは安全なものであり、健康被害は無い、と堂々と豪語したのです。
そして、アスベストを輸入禁止にすることは、貿易の妨害にあたると、映像の中では、大臣が、フランス政府を非難しました。
でも、カナダからの圧力を受けながらも、フランス政府は、自国の決定を覆すことはありませんでした。
それは、自国での調査が確かなものであり、アスベストは健康に有害な物質である、という結果を確信していたからです。

一企業の代表どころではなく、一国の大臣自身が、それは、カナダでの調査結果を踏まえてのことでしょうが、アスベストは無害だと言い張った映像を見て、私は、背筋がぞぞーっとしました。
間接的にしろ、多くの人々を死に至らしめた物質を、公の場でもって、堂々と、自らの言葉で正当化していたのですから。

その、世界でも有数のアスベスト輸出である、カナダでは、被害はどうだったのでしょうか。
私自身は、吹き付けたアスベストが剥きだしになっている映像しか見たことが無かったので、どんな場所で取れるものなのか、これまで、全く知りませんでした。
このドキュメンタリーでは、アスベスト鉱山の付近に住む住人たちが、どういった健康被害を受けているかがレポートされていました。
驚いたことに、住居の窓から、白い小高い山が見えるのです。
それは、一見、白い大理石の山に似ていましたが、なんと、アスベストの山でした。
鉱山から切り出されたものが、住民が住む土地のすぐそばに、積み上げられているのです。
(駅構内にアスベストの吹き付けがのぞいているとか、ここでは、もはや、そんな問題ですらなかったのでした・・・)
そして、切り出しを行っている会社に雇われていた付近の住人たちは、ヘルメットだけをかぶり、マスクもなしに、鉱山で作業をしていたと言います。
付近の住人や、労働者たちは、被害者の会を設立して、健康被害の調査をしていますが、国自身がアスベストを擁護する立場を取っているカナダでは、なかなか、因果関係を認めてもらえなかったり、大きな問題が立ちはだかっているようでした。

フランスから遅れること数年、EUでのアスベスト全面禁止後、先進国での使用禁止が広まっている中、今度、カナダのアスベスト輸出会社が目をつけたのは、まだ、それほど、有害性の認識が広まっていないアジアや、南アメリカでした。
特に、ブラジルには、アスベストの大きな鉱山があり、そこを掘削して、アジアや南アメリカ、アフリカに輸出しようとしたのです。
それは、今も続いているそうです。
ブラジルでも、先進国同様、アスベストの有害性を訴えかけ、被害者たちが団結して立ち上がるように、アスベスト反対運動をしているリーダー的立場の女性がいます。
でも、その団体が発表している調査結果は正しくない、我が会社に不利益をもたらすものだと、その女性の名前を出して、わざわざ、掘削を行っている某会社は、本社のあるカナダからブラジル政府へ、圧力をかける手紙を出したそうです。
また、その女性への脅迫も多いとのことでした。
世界的には、アスベストの有害性が、これほどまでに確認されているのに、ブラジルで、禁止法令が承認されなかったのは、掘削会社が、地元の議員5名に多額の献金をしており、彼らが議会で反対したせいだったといいます。
献金は非合法なものではないし、リストも作っている。
それの、どこが悪いのか?
掘削会社の代表は、そのような発言をしていました。

アスベストは、燃えにくいし、確かに、安くて、便利な物質かも知れません。
でも、健康にも害のない、代替物が、アスベストの値段より、ほんの少しだけ高いコストをかけるだけで作ることが出来るのだそうです。
なのに、それを作ろうとはせずに、いまだに、世界のどこかでは、アスベストが生産し続けられている。
そして、それらは、今も、何も知らない人々の家に使われたり、周辺の公共物に使用されたりしているのです。
三十年後に、それらが、人々の肺を侵し、病の床につかせる日まで。

銃弾で人を撃ったり、刃物で人を刺したりして、直接、誰かに危害を加えるのと、このように、いずれは、健康に多大な被害を与える物質だと知りながら、それらを生産し続けることの違いはいったい、何なんでしょうか。
結局、間接的に、多くの人をゆっくりと殺していっているのと同じなのでは?
会社という名のもとで。

今回、このドキュメンタリーを見て、日本は、輸入されてきたアスベストによる被害を受けたわけだけれど、その輸出先が、どのような思惑で、いまだに、輸出を続けているかを知りました。

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by akiko_mama | 2005-08-06 23:34 | TV
史上空前の論文捏造
『史上空前の論文捏造』
(NHKーBSドキュメンタリー)

私がこの番組を見たのは一昨日でしたが、実際は、昨年の10月に放映されたもの。
そして、6/13に行われた、カナダの「バンフテレビ祭」で、ロッキー賞「科学・自然部門」を受賞した作品とのことでした。
受賞記念で放映になったのですね。

内容は・・・

最先端の科学界において、29歳という若さで、次々に「ネイチャー」や「サイエンス」といった一流誌に論文が掲載された、ヘンドリック・シェーンという科学者の話です。
超伝導という研究分野で、それまで、日本人の科学者が持っていた記録を大幅に塗り替えた研究結果を発表し、一躍、有名人となりました。
彼の論文に追随する形で、世界中の科学者が、同じ結果を得ようと、高価な研究器具を買い集め、何年もかけて、実験に取り組みますが、誰一人として、シェーンと同じ結果を出せた者はいませんでした。

シェーンの論文には、世界的に権威ある有名な教授が共同研究者として名を連ねていたため、その論文が捏造されたものではないかと、思うものは誰もいなかったのです。
逆に、シェーンは神の手を持っているのではないか、とまで囁かれていたほどでした。

しかし、シェーンが一流誌に次々と発表した論文は、ほとんどが捏造だったことが、やがて、発覚します。
しかし、その責任を取ったものは、誰もいませんでした。

若き一人の科学者による、論文捏造によって、何年も踊らされた世界中の科学者たち。
医学や生化学とは違い、急増している論文捏造に対応する機関は、科学には、まだ存在していません。
最先端の分野で、誰がどうやって、真実を見極めるのか。
これからの大きな課題が突きつけられたドキュメンタリーでした。

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by akiko_mama | 2005-06-30 10:22 | TV
キプロス島・その後
『ヨーロッパ最後の壁 ~キプロス 民族紛争の解決に向かって』
(地球街角アングル・HNK-BS1)

地中海に浮かぶ島、キプロスは、一つの島の中が二つに分断され、未だに壁が存在している国です。
南は、ギリシャ系住民が住むキプロス共和国。昨年、EUへの加盟が承認されました。
北は、トルコ系住民が住む、北キプロス。ただし、国家として認めているのはトルコのみで、世界的には、ここは「国」ではありません。

1974年に、住民紛争を鎮圧するため、トルコ軍が侵攻して以来、この島は南北に分断され、長い間、紛争が続き、住民同士が殺し合い、憎みあってきました。
そして、ドイツのベルリンの壁が崩壊してのち、このキプロス島にある、南北分断の壁のみが、唯一、ヨーロッパに残された「壁」となったのです。
北と南の間には、緩衝地帯があり、今は、国連軍が常駐しています。
昨年の春には、やっと、ビザとパスポートがあれば、南北で、人の行き来が出来るようになったそうです。

憎みあうだけでなく、互いに理解しあい、友好を深めていこう。
そんな運動が、若い世代を中心に、今、キプロスで広まりつつあります。
北と南に分かれて住みながらも、この運動がきっかけで、友達になったという、二人の女子高校生を番組では紹介し、これからのキプロスを模索する、住民たちの姿を描いていました。

*********

この『地球街角アングル』は、以前の番組、『ヨーロピアン・ライフ』のときから、好きな番組で、よく見るのですが。
今回、キプロスのレポだと知り、これは絶対に見たいと思ったのでした。

というのも、このキプロスという島のことを、昨年、『終わりなき戦いの地』(セバスチャン・ユンガー著)で読んで、初めて、その実情を知って、衝撃を受けて以来、とても興味を持っていたからです。

昨年のEU加盟の投票も、新聞紙上で興味深く、読んでいましたが、その後は、住民たちが、どうなったかを知る手立てはありません。
「戦争」や「事件」が起こらない限り、なかなか、ニュースにはならないものだから。
そんな矢先、この番組で、南北を分断していた壁を行き来することが出来るようになり、少しずつ、人々の交流も始まっていると知って、ほっとしたのでした。

「壁」は、島の中に横たわっているだけではなく、住民たちの心の中にも存在していました。
番組で紹介されていた女子高校生の二人が、互いに、ギリシャ系の人たちは、恐ろしくてモンスターみたいだと学校で教わりました、とか、トルコ系の人たちは、とても残虐だと学校で教えられました、と言うのです。
そうやって、互いに憎みあうように、子供の頃から、教えられてきてしまったのですよね。

でも、同じ島に住みながら、憎しみ合い、互いを理解しようとしないのは、愚かとしか言いようがありません。
30年ほど前の、紛争までは、ギリシャ系住民も、トルコ系住民も、一緒に、この島で暮らしていたのですから。

少しずつ、そんな関係が、住民同士の努力によって、変わりつつあるという姿に、希望が感じられました。

『終わりなき戦いの地』には、かなり悲惨で絶望的な状況が書かれていたので、もう一度、読み返して、どこが、どう変わったのか、どう変わろうとしているのかを確かめてみたいなとも思いました。
(早速、昨年、本を読んだあとに書いた日記や、セブンアンドワイでの紹介文などを読み返し、この本には、かなり衝撃を受けていたことを、改めて、実感しました((^^;;)

◆『終わりなき戦いの地』(セブンアンドワイで紹介してます)

◆『終わりなき戦いの地』を読んだときの読書日記(2004/01/22)

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by akiko_mama | 2005-06-29 19:34 | TV
シャクルトン
『シャクルトン』
原題;SHACKLETON
(イギリス・2002年)

20世紀初頭。
まだ未知の大陸だった南極大陸へ、冒険に出る者は多かった。
イギリスの冒険家、サー・アーネスト・シャクルトンも、過去に二度、南極点到達を試みたが、いずれも失敗に終わっていた。
そんな中、アムンゼン隊が人類史上初の南極点到達に成功、との一報がイギリスにも入る。
シャクルトンは次の目標として、前人未踏の南極大陸横断に挑むべく、新たに隊員を募り始める。
資金繰りに苦労しながらも、新聞社の協力や、支援者の出資により、出航の目処が立った頃、今度は、ヨーロッパ全土を巻き込む第一次世界大戦が今、まさに開戦しようとしていた。
だが、当時の海軍大臣、ウィンストン・チャーチルのはからいにより、シャクルトンと隊員たちは、いよいよ南極大陸横断の旅へと出発することになる。
『エンデュアランス号』、不屈の精神で克つ、とシャクルトンが名づけた船に乗って。

以前、放映されたときにも見ていたのですが、またまた見てしまいました。
そのときには、最初の三十分ほどが見れていなかったこともあって。
でも、二度目だったのに、やっぱり、このシャクルトン隊の運命を、息を詰めるようにして見守ってしまいました。
新年早々、お正月に見たTVの中で、これが一番、印象に残っていたというのもナニですね((^^;;

史実を述べてしまえば、シャクルトンは、南極大陸横断に失敗してしまいます。
でも、その失敗があったからこそ、彼の名前は、偉大なリーダー、冒険家として、今もまだ語り継がれていると言っても過言ではありません。

氷が緩むのを待っていたはずが、次々と押し寄せる氷の力に、人間はあまりに無力で、シャクルトンたちは、エンデュアランス号を捨てることとなり、そこから、彼らの本当の苦難が始まるのです。

このドラマの最大の見所は、何と言っても、誰も助けに来るはずもない南極で氷に阻まれ、遭難した、シャクルトン隊が、いかにして、このブリザード吹き荒れる厳しい極寒の地で生き延びようとしたか、そして、そこから無事に生還したか、に尽きるでしょう。
しかし、その厳しい世界は、また、あまりに美しく、穢されていない白の大地が持つ神秘さも、画面いっぱいに映し出され、自然の偉大さに圧倒されてしまうのです。

本当に南極でロケをしたわけではないと思うのですが、当時の彼らの生活の様子も、生き生きと描かれていて。
ドラマ前半では、たった一艘の船に数十名が乗って、長い冒険の旅に出たことの、厳しさや楽しさが伝わってきます。

そして、ドラマでは、このシャクルトンという、不屈の冒険家の内面を描いているのも、とても興味深いです。
資金集めのために、上流階級の人間と付き合い(彼自身も、「サー」の称号を貰っている、上流階級ではあるのですが)、晩餐会では、自分の果て無き夢を、自信たっぷりに語り続けます。
そうやって、ある意味、広告マンにもなりきらなければ、冒険に必要な金が集まらなかったわけです。
一方で、彼は自分の無力さ、非力さにも、強く打ちのめされ、一人で苦悩します。
そういった、この冒険家の二面性、強靭な精神とナイーブな面をも、主演のケネス・ブラナーは見事に演じていて。

南極で、もはや走行不可能となった船を捨てたあと、彼は、前人未到の冒険を達成するためではなく、27名の隊員全員の命を守り、全員が無事に祖国へ戻るため、想像を絶する飢えや寒さ、隊員内の不和など、さまざまな困難や問題に向き合いながら、氷に閉ざされた南極大陸からの脱出、それだけを目指すことになるのです。
彼ら隊員の命を預かったのは自分なのだから、何があっても、誰一人、死なせるわけにはいかない、と誓って。

きっと、この冒険、この失敗が彼自身を大きく変えたのだろうと思います。
でも、この失敗があってもまだ、彼は再び、南極へと向かうのです。
それが、冒険家ということなのか。
大きな名声をもたらすとはいえ、飢えや寒さ、極限の疲労を伴う冒険へと、敢えて挑まなければ生きていけないということなのかと、彼の冒険家としての人生には、驚愕するばかりです。
どうして、これほどの不屈の精神を持ち続けていられるのか。
これが、もっと強くありたい、誰も成し遂げたことのない冒険をしたいと願った男の生き様なのか、と。

このドラマでは、一年半に及ぶ、遭難したシャクルトン隊の悲惨な状況が、克明に描かれ、自然はこれほどまでに冷酷なものなのかと思い知らされます。
そして、それと同時に、人間の生きる力についてもまた、改めて、考えさせられるのです。

とにかく、TV映画とは思えないほどに、立派な作品で、オススメです(><)

★NHK海外ドラマ・ホームページ『シャクルトン』
ドラマの詳しいあらすじなども、こちらに載っています。
(やっぱり、ケネス・ブラナーって、好きだなあ・・・)



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★シャクルトン自身の著作として、何冊か文庫も出ています。

『エンデュアランス号漂流記』
アーネスト・シャクルトン著(中央公論文庫/2003年6月発行)
以前、このドラマを見た直後に、これがちょうど本屋に出ていたので、立ち読みして(すいません(笑))、シャクルトンのその後のこととかを知ったのでした。




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★ドラマにも出てきた、記録カメラマン、ハーレー(「王子」と呼ばれていた彼、ですね)が撮ったエンデュアランス号の写真も、本になっています。

『エンデュアランス号/シャクルトン南極探検の全記録』
キャロライン・アレグザンダー・著/フランク・ハーレー・写真(ソニー・マガジンズ刊)
これが、ハーレーが、すでに沈みかけている船を満たす冷たい水に、命賭けで飛び込みながら、救い出してきた乾板による写真か、と。
ものすごく、臨場感ありそう・・・(><)
(私はまだ本を見ていないのですが、寄せられているコメント全てが五つ★なのです。ぜひ一度、手にとって、見てみたいものです~(><))
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by akiko_mama | 2005-01-07 09:26 | TV
たったひとつの愛
『たったひとつの愛』
One True Love
2000年・アメリカ

デビット・ハッセルホフと言えば、もう、私にとっては『ナイトライダー』のマイケルのイメージしかないんですが★
(『ナイトライダー』は、ずっと好きで、見てました~)
そのマイケルが・・・もとい、デビッドが、消防士役マイクとして主演しているラブ・ストーリーです。

元・弁護士のデイナは、今は実家の農園で犬の訓練士として働いています。
弁護士と長い間、婚約期間中で、彼に、そろそろ結婚しようと迫られ、来月にはジューン・ブライドとなる予定。
そんなデイナが、車の運転中に、突然、道路に走り出してきた犬を避けて、車ごと、崖下に転落してしまいます。
ちょうど、その場面に居合わせた消防士のマイクは、同僚に救援を求めるとともに、デイナの救助に駆けつけます。
デイナはドアに足が挟まれ、運転席から逃れることも出来ずにいました。
怪我で目が開かないデイナのそばで、マイクは手を握り、パニックに陥りそうになる彼女を励まし続けます。
オイルがタンクから流れ出し、車からは、すでに炎が上がっています。
それでも、「私を置いていかないで」と頼むデイナに、マイクは優しく、「君を一人にするもんか」と語りかけます。
やがて、消防車や救急車が到着し、デイナは助け出され、病院へと運ばれていきます。
でも、デイナは、自分を助けてくれ、ずっと励ましてくれた消防士のことが、このときから、ずっと、気にかかっていました。

そして、来月、婚約者と結婚する予定のマイクも、また同じ気持ちになっていたのです。

二人とも、実は、子供の頃から、自分には、ただ一人の「運命の相手」が世界のどこかにいて、その人と会えば、すぐに分かるのだと信じていました。
しかし、やっと、その「運命の相手」と出会えたはずなのに、自分も相手も、互いに、長い付き合いの婚約者がいて、結婚式を来月に控えている身。
そのことを知り、二人は、相手のことを忘れようとするのですが・・・。

言ってみれば、まるで、ハーレクイン・ロマンスのようなお話です。
でも、ドラマの冒頭に流れたテロップによると、実話を基にしているのだとか。

あの「マイケル」が、こういう、典型的なラブ・ストーリーにも合う人なのだというのは、ビックリでしたが、彼のような、スポーツマン・タイプで、精悍な男らしい顔つきの男性(『ナイトライダー』の頃からは、当然、年は取っていますが、その分、整形じゃないかと噂されていた、整いすぎていた感もあったルックスも、良い具合に渋くなっていて)は、よく考えてみれば、いかにも、ハーレクインの表紙を飾りそうなタイプですもんね★

デイナとマイクの本心を知り、二人の間を取り持つために奔走する少年、コーリーも、演技派で、とっても可愛いです。

ハッピーエンドを信じて、安心してみていられるラブ・ロマンスでした。


★NHK海外ドラマ・ホームページ『たった一つの愛』
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by akiko_mama | 2004-12-26 16:49 | TV
コナン・ドイルの事件簿
『コナン・ドイルの事件簿』
原題;Murder Rooms ~The mistries of real Sherlock Homes~
2000年~2001年 イギリス

かの世界的に有名な探偵、シャーロック・ホームズ。
その産みの親である、サー・アーサー・コナン・ドイル。
彼が医者であったことは有名ですが、そのドイルが、若き日に、恩師であり、まさに、ホームズのような独特な調査手法を持ち、エジンバラ大学で解剖学を教えているベル教授とともに、現実に出会う、さまざまな奇怪な事件を解決していくというミステリ・シリーズです。
先月、NHK-BS2で放映されたものを、やっと全編通して見ました((^^;;

これは、BBC(日本でいうNHK。イギリス国営放送)が製作したものなのですが、うまくやったなー、というか(笑)
まさに、イギリスの遺産をうまく活用していますよね★
ジェレミー・ブレッド主演の『シャーロック・ホームズ』はグラナダTVが製作して、ヒットしましたし、じゃあ、その作者を使って、ドラマを作ってみようか、というBBCのアイデアって・・・。
最初は、そんな風に思っていましたが、実際、見てみると、実は、予想外に、かなり、よく出来たドラマになっていたのでした。

ホームズとワトソンの二人ならば、全てはホームズの独壇場であり、彼の天才的な頭脳に、読者もワトソンも驚くばかりですが、このシリーズの二人は、やはり、どう転んでも、医者でしかなくて、司法解剖の観点から事件を観察し、二人で協力しながら、警察とともに、まさに体当たりで、事件を解決していこうと臨むのです。
だから、彼らがとても人間味に溢れていて、推理もいささか、こころもとなく、そんな不安定な状況でドラマが進んでいくものですから・・・。
万能でないだけに、ハラハラしてしまうというか。
銃を片手に、犯人を捜しに暗闇へ踏み込むドイルにしたって、あなたは医者なんだから、そんな危険なことしなくてもいいのよ~っ、とハラハラして見守る始末(笑)
(本人的には、ホームズ同様、ボクシングの心得があるつもりでいますが、あまり役に立っていないと見た・・・(笑))

第一話『ドクター・ベルの推理教室』だけは、ドイルを演じる役者さんが違っていて、話の毛色も少し違っています。
医学生という立場でのドイルは、ベル教授にことごとくたてついたせいか、逆に気に入られて、教授の助手にしてもらい、そこから、奇怪な事件へと足を踏み入れることになるのですが。
ここでの二人は、まだ先生と学生という立場。

それが第二話以降、ドイルが医者として、ポーツマスでの生活を新たに始め、卒業後も親交のあったベル教授に不思議な事件の相談をするようになってから、二人の関係が微妙に変わってきています。
歳は親子ほども離れているのに、ベル教授はドイルのことを「私の親友」と言って、とても心配しているし、そのドイルは、たまに、その心配もよそに、教授に反抗しちゃったりするところが、やんちゃ坊主だったりするし((^^;;
そんなドイルを見守るベル教授は、きっと、自分の考え出した手法を確実に受け継いでく、医者としてだけでなく、探偵としても成長しようとしているドイルのことが、可愛くて仕方ないんだろうなあ、というのが、言動を通して、ひしひしと伝わってくるわけです。
ベル教授役のイアン・リチャードソンが、これまた、その辺の微妙な役作りが上手くって(><)
厳しくも優しい眼差しなどに、とても惹き付けられました(^-^)
とにかく、この二人の微妙な関係が、ホームズとワトソンとは、また全然違っていて、面白いのですよ~★

世紀末当時の、小汚くて薄暗い路地や、陰鬱な夜の街など、いかにもイギリスの庶民の世界も、そこには描かれていて、とてもダークでミステリアスな全体の雰囲気に仕上がっています。
イギリスって、本当にこういう陰湿な作りのドラマが上手いんですよねえ。
カラッとはせずに、何を作っても、どこか湿気を帯びているというか。
そして、当時の情景や衣装をそのまま再現できる辺り、やはり、さすが、BBC。
(お金、かかってます(笑))

そして、ホームズ・ファンなら、あちこちで、ニヤリとしそうなディティールも。
つまり、ドイルがホームズの物語として書いた、さまざまな事件が、実はドイルが体験したものが元だった、という設定でドラマが描かれているのですよね。
だから、あの事件とか、この事件とか・・・。
本家取りの本家取り?
まず、ベル教授にしても、当時としては、斬新な科学的推察をもとにした、その考え方が、まさに、ホームズのモデルとして描かれていますしね★
そしてまた、晩年、ドイルが交霊術に心酔していたというエピソードを髣髴とするようなシーンも、ちゃんと書かれていて。
他にも、あっ、これは・・・と、ホームズを読んでいる人なら、密かに楽しめそうな部分が、いろいろと満載です。
本当にホームズの物語が好きで、愛している人が作ったんじゃないかなー、と思えるほど、元の作品へのリスペクトが感じられる仕上がりになっていました。

質の高い、見応えのあるドラマだったので、もっと、シリーズ化してくれないのかなあ(><)

第一話;ドクター・ベルの推理教室 Dr. Bell and Mr. Doyle
第二話;惨劇の森 The Patient's Eyes
第三話; 死者の声 The Photographer's Chair
第四話;謎のミイラ The Kingdom of Bone
第五話;暴かれた策略 The White Knight Stratagem


◆NHKの『コナン・ドイルの事件簿』(放映終了)のページはこちら
http://www3.nhk.or.jp/kaigai/conandyle/
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by akiko_mama | 2004-10-25 08:39 | TV