books★movie★diary
sherwood.exblog.jp
映画の感想日記
ライフログ
favorite CD
リンク
カテゴリ
以前の記事
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
<   2004年 11月 ( 6 )   > この月の画像一覧
死より蒼く
『死より蒼く』
フィオナ・マウンテン著(講談社文庫)
原題;PALE AS THE DEAD

eS!BOOKSのほうにも書いたのですが、この本はズバリ、表紙を見て、買ってしまったのでした((^^;;
もちろん、買う前には、中も確認しましたけど。
この表紙がイメージだけでなく、ちゃんと、ラファエロ前派が関わったミステリだと知り、ふらりと入った本屋で、そのまま衝動買いしてしまいました★

簡単なストーリーはeS!BOOKSに書いたので、ここでは、その表紙のことなどを。
表紙は、ジョン・エバレット・ミレイの『オフィーリア』
シェークスピアの『ハムレット』に題材を取った幻想的な絵です。
恋人のハムレットが父親殺しの罪を犯したと知り、狂気に陥ったオフィーリアが、恍惚とした表情で、川面をたゆたう姿を美しくも儚く描いた絵です。
有名な絵なので、それとは知らなくても、目にされた方も多いのではないでしょうか。
(本書では、この絵が大きな意味を持ってくるのですが、イギリス本国で出版されたときの表紙には、使用されていません。それを思うと、日本の出版社は太っ腹! でも、絶対、日本人が好きそうな絵なので、効果絶大ですよ(><))

ところで、私がこの『オフィーリア』の絵を初めて見たのは、ロンドンのテート・ギャラリーでした。
同じスペースには、ロセッティの『プロセルピーナ』や、『ベアータ・ベアトリックス』もあり、この一角は、特に私のお気に入りの場所でした。
確か、数年後にも、また、大好きなこれらの絵が見たくなって、ロンドンへ行ったときにも、わざわざ、テート・ギャラリーまで足を伸ばしたほど。
これらの絵は、ラファエル前派と呼ばれる、イギリスの19世紀半ばの画家たちによるものです。
ロセッティは、デザインでも有名なウィリアム・モリスとも深い関係があり、ラファエル前派の画家たちのモデルとなったモリスの妻ジェニーを巡り、複雑な愛憎劇を繰り広げました。
このグループは、若い芸術家たちによって結成された、秘密結社的な色合いの濃いものだったので、現代でも、彼らのその才能の高さと同時に、ミステリアスなグループ内での交流が大いに注目されています。
その辺りのことに、以前から興味もあったので、今回、このミステリーが、ラファエル前派にも関係があると知り、興味津々で読んでみることにしたのでした。

実際、本書は、これらの幻想的な絵のイメージそのままに、繊細な描写が、とても女性らしい作品でした。
そして、主人公ナターシャの、系図学者としての調査手法も詳しく書かれていて。
全く未知の世界だったので、資料を駆使すれば、こんな風に何世代にも渡って、系図を辿っていくことが出来るんだと、驚きで一杯でした。
英国図書館などに行く描写もあり、古い時代の資料も事細かに記載されたものが、これだけ残っているという時点で、まさに、イギリスならでは、というか。
日本では、ここまで調べようと思っても、明治に入ってから戸籍制度が出来るまで、こんなに詳しい資料は無いだろうし、あえて言えば、寺の過去帳くらいかなあと。

ナターシャが自宅コテージのあるコッツウォルズを車で走り回ったり、ロンドンと電車で行き来したりする描写を読んでいても、行ったことのある場所の記述を目にすると、その時の記憶が、ふと呼び覚まされたり。
そういう意味でも、個人的には、とても楽しめた一冊でした。
特に、イギリス好きの方には、オススメかな。

主人公ナターシャの性格も、きっぷが良くて、好感が持てますよ。
彼女が思ったことや、言ったことが、あまりに的確で、思わず、そうそう、と頷いてしまうこともあったりして。
一人暮らしのナターシャにはアイリッシュ・セッターのボリスが、唯一の同居人(?)で、彼との心温まる交流も描かれています。
朝の二時、キッチンで一人、こんな時間に話し相手がいればいいのに、と別れた恋人を思い出し、寂しく思うナターシャの前に、ボリスが現われて、大丈夫なの?と見上げてくれるんです。(こんな犬、私も欲しい!(><))

「時々、自分のことをいちばん理解してくれていて、何があろうとも自分を愛してくれるのは彼だけだとナターシャは思う。」

本書では、ナターシャの過去についてのこと、家族との関係なども絡めて書かれていて。
系図学仲間もいて、近所には親しい友人夫婦もいるけれど、やはり、どこか、自分が生まれ持つ寂しさを紛らわしきれないでいるナターシャに、共感を感じながら読み進めていけました。
イギリス本国では、ナターシャを主人公にした新作も発表されているとか。
ぜひ、次作も読んでみたいものです。


あとは余談ですが、ちょっと、本書で気になったこと。
訳者さんが若手で(?)、こういう言葉遣いをしてしまうのか、30代半ばの作者による原文がそうなのか、「チョー重要」とか「う~んと」とか、「もしも~し?」とか、ヤングアダルトや、今、人気のライトノベルじゃないんだから、という訳文が、どうにも、気になりまして(><)
たとえ、くだけた英語の原文だったとしても、作品に漂う緊張感が一気に抜けてしまうような言葉遣いはやめて欲しい、と思うのですが((^^;;
特に、他の部分の描写や文章が、結構、好みだったりするので、余計に残念で・・・。
あと、「行かれる」っていう言葉を最近よく、巷でも見かけるのですが、これも本書で使われていました。
どうして「行ける」じゃダメなんだろう???と、以前もこの言葉を見るたびに、不快に思っていたのですが。
「行く」を五段活用した「行ける」が語法的には正しいのであって、「行かれる」っていうのは、いtったい、何活用?
(スーパーでよく聞く、「●●円からお預かりします」もそうですが、間違った言葉遣いには、すぐに拒否反応が出てしまうのです・・・)
しかし、それがついに、海外ミステリーでも使われてしまうとは。
大手出版社だと、校正部がしっかりしているから、言語や用語の使用に関して、余計なお世話というほどに、かなり厳しいチェックが入ると聞いたことがあるのですが、講談社さんの校正部は、こういう言葉の使い方も許してしまうことにしたのかなあ(><)
やはり、単語力だけでなく、文章力も大いにモノを言うはずの翻訳者さんたちには、せめて、正しい言葉使いをして欲しいと、切実に思ったのでありました・・・。
まあ、本書では、個人的に、これら数ケ所が気に障っただけで、あとは、かなり上手い訳をつけているので、すんなりと読むことは出来たのですが。


★ところで、上のリンクからは、テート・ギャラリーの各図版に飛べます。
本書にも、これらの絵が出てきていますが、別にネタバレにはなりませんので。このミステリーに関心のある方もない方も、私の大好きな絵を、一度、ぜひ、見てみてくださいね。

ウォーターハウスの『シャーロットの娘』についても、本書では出てきていたので、リンクしてみますね。
この絵も、結構、有名なのでは?
テニスンによる、アーサー王物語を基に書いた詩のイメージから、小船の上の美しい少女が描かれた作品です。ランスロットに恋をしてしまった少女の悲しい運命が、キャンバス全体から漂ってきます。


★作者であるフィオナ・マウンテンのHPもあります。
この作品のイメージそのままのサイトとなっています。
本書にまつわるコーナーもあって、より、作品を楽しめますよ。
http://www.fionamountain.com

★本書『死より蒼く』の幻想的なショート・ムービーはこちら
[PR]
by akiko_mama | 2004-11-26 23:05 | ミステリ
トプシー・ターヴィー
『トプシー・ターヴィー』
原題;TOPSY-TURVY
1999年・イギリス

19世紀末のロンドン。
サヴォイ劇場では、人気を誇る数々のオペレッタ(喜歌劇)が上演され、中でも、劇作家のギルバートと作曲家のサリヴァン、ギルバート&サリヴァンによる作品が人気を博していた。
だが、満を持して発表した新作は「マンネリ」と酷評される。
その上、サリヴァンが、これ以上、喜歌劇の作曲はしたくない、正統派の正歌劇へ転向したいと告げる。
人気劇作家コンビを失いたくない劇場側が止めに入るが、サリヴァンは納得せず、二人の間に生じた不和は解消されないままだった。
だが、そんなとき、妻に誘われたギルバートは、ちょうど開催中だったロンドン万国博覧会を訪れる。
そこで、彼は日本館を目にし、初めて触れる日本の文化、キモノなどに触発を受け、それまでとは全く違った、新たなオペレッタ、ギルバート&サリヴァンの最高傑作とも言われる『ミカド』の製作に取り掛かる・・・。

タイトルの『トプシー・ターヴィー』は、「めちゃくちゃ」という意味。
このタイトルだけをTV欄で見て、てっきり、イタリア映画か何かかな?と最初は思ってました。
だから、見るつもりはなかったのですが、ふと、なにげなく、TVのチャンネルを回していると、なにやら、興味を惹かれるような映像が映っていて。
でも、まだその時点では、オペラのシーンのようだったので、やっぱり、イタリア映画かな~と思っていたのですが、よく聞いて見ると、聞こえてくるセリフはイギリス英語。
衣装などから、どうも世紀末の音楽映画っぽいものみたい、という推測だけで、内容もよく分からないまま、途中からでしたが、何となく気になって、録画しておいたのでした。

そして、翌日、録画した映画を見ていると、(最初は、どの髭のおじさんが、いったい誰なのかすら分からなかった(笑))出てくる名前がギルバートとサリヴァンだし、これは、もしかして・・・ということで、ようやく、ギルバート&サリヴァンについて描いた映画だと分かったのでした((^^;;

日本では、特に、オペラに興味のある人以外にはあまり知られていない名前かも知れませんが、ギルバート&サリヴァンは19世紀末に、イギリスで人気を博した喜歌劇作家なのです。
かく言う私も、実は、イギリスに行くまで、彼らのことを、はっきりとは知りませんでした。

イギリスにホームステイ中、日本にエアメールを送るために、よく郵便局で切手を買っていたんですが、イギリスの郵便局では、とにかく、いつでも、何種類ものカラフルな記念切手が置いてあり、目を楽しませてくれます。
その中で、ある日、買った切手シートの絵柄が、どうも、いくつかの劇のシーンをイラストに仕立てたシリーズになっていました。
それらは、みな、ギルバート&サリヴァンの作品だったようで、いずれの切手にも彼らの名前が書かれていたのですよね。
私は英文科を出たわけではないので、イギリスの文学や演劇には全く詳しくないんですが、このうちの『ミカド』っていうのは、何となく名前を聞いたことがある気がするし、ギルバート&サリヴァンというのは、シェークスピアほどじゃないにしても、庶民に人気のあった劇作家のことじゃなかったかな、という認識で、そのときはいたのでした。
それ以来、たびたび、耳にする名前だとはいえ、今まで、特別、気になることもなかったですから、わざわざ、調べようともせず((^^;;
それが、12年経った今になって、やっと(?)、ギルバート&サリヴァンについて、詳しく知ることが出来たわけです。
だから、途中から見たせいで、この映画の内容がやっと掴めたときに、私の頭に思い浮かんだのは、ああ、あの切手の図柄になっていた劇作家の人たちのことね!でした(笑)

前置きが長くなりましたが、そんな個人的な思い出もありつつ、この映画を見たわけですが。
特に、大きな進展や流れがあったり、起承転結が明確になっていたりする映画じゃないのに、何故か目が離せない、そんな映画でした。
もちろん、アカデミー衣装デザイン賞を受けたという、当時のイギリスの富裕階級の衣装、そして、『ミカド』に出てくる衣装は素晴らしかったのですが。
(ちなみに、この映画は、衣装とメイキャップでアカデミー賞を受賞し、その他、受賞すらしませんでしたが、脚本賞をはじめ4部門にノミネートされていたそうです)
作中では、もちろん、当時、人気を博したというギルバート&サリヴァンの幾つかのオペレッタが、シーンに盛り込まれるわけですが、当時の喜歌劇とは、こういうものだったのかとか、こんな階級の人たちが見に来ていたのかとか、客席やオーケストラ・ピットの様子、そして楽屋の様子まで、事細かに描かれています。
また、むしろ、興味深いのは、一つの劇を上演するまで、そして、それを作り上げるまでの、劇作家と作曲家の葛藤、俳優たちの楽屋裏での苦悩など。
どの人物も、とても深く人物像が掘り下げられていて、悲喜こもごも、細やかな感情の機微が、見る者を飽きさせないのですよね。
決して有名な俳優が出ているわけではないのですが、どの俳優の演技も味わい深くて、素晴らしかったです。
そしてまた、映画全体を彩る19世紀末のロンドンの雰囲気もたっぷりで、イギリス好きには、とても面白く、興味深い映画だと思います。

この映画で大きな意味を持つオペレッタ『ミカド』は、遠い未知の国である「日本」が、ロンドン万国博覧会で当時のイギリス人に、どんな影響を与えたかを知るのに、とても面白い材料です。
こんな風に日本が「誤解」されていたのか、とか、こんなに興味を持ってくれていたのか、とか、現代の私たちにとっては驚くことばかりで。
当時の彼らが、何とかして、日本を知ろうとする努力が見えてくるのですよね。

決して、スペクタクルな映画じゃないけれど、淡々と進む映画の中にも、それぞれの人物に静かなドラマがあって。
まさに、地味ではあるけれど、佳作だと思います。
もちろん、この映画を見たことで、ギルバート&サリヴァンが、今まで以上に、少し身近に思えるようになったことも確かです★

ところで、ギルバート&サリヴァンの作品は、荒唐無稽なオペレッタですが(それが喜歌劇というものなのかな?)、『ミカド』の他にも有名な作品が幾つもあって。
知っている方は知っているのでしょうが、たとえば、『ザ・ホワイトハウス2』の第5話で、ホワイトハウスの法律顧問エインズリーが歌っていたのが『軍艦ピナフォア』だったのは、覚えていたのですが、それも、ギルバート&サリヴァンの作品だったとは。
(今回、初めて、その二つが頭の中で繋がりました((^^;;)
あと、『ペンザンスの海賊』もギルバート&サリヴァンの有名な作品の一つらしいですが、そこに出てくる海賊の言葉は、『パイレーツ・オブ・カリビアン』での台詞回しにも使われているとか。

この『トプシー・ターヴィー』は、残念ながら、日本未公開で、今年に入ってNHK-BSで二度、放映されただけのようです。
イギリス、特にビクトリア時代の風俗や衣装に興味のある方にはオススメですヨ。
(もちろん、それ以外の方にも★)
[PR]
by akiko_mama | 2004-11-12 19:59 | 映画
アンタッチャブル
『アンタッチャブル』
原題;The untouchable
1987年 アメリカ

1930年代、禁酒法時代のシカゴ。
密造酒製造・密売で、大儲けしていたマフィアは、シカゴの街を牛耳り、腐敗しきった警察内部はマフィアに買収されており、そんなシカゴで、マフィアのボス、アル・カポネに楯突く者は誰もいなかった。
だが、財務省から派遣されてきた特別捜査官、エリオット・ネスは、何の罪も無い市民すら巻き添えに殺してしまうマフィアの横暴を許せなかった。正義感と使命感に燃えるネスは、マフィアに立ち向かうことを決意し、アル・カポネ逮捕のため、巨悪への闘いを挑む。

もとは、TVシリーズだった作品をブライアン・デ・パルマ監督が映画化。
エリオット・ネス役に抜擢されたケビン・コスナーは、この作品で、一躍、ハリウッド・スターの仲間入りをしました。
正当派の西部劇『シルバラード』でやんちゃなガンマンを好演したケビン・コスナーが、一転して、アメリカの良心を代表するような俳優となったわけです。
まさに、このときのケビン・コスナーは、クリーンなイメージと、アメリカが求める強さと若さを兼ね備えていて、理想に燃える捜査官にはピッタリだったと思います。

そして、脇を固める名優たちも、また素晴らしく。
ネスを支える、世の中の酸いも甘いも知り尽くした老警官マローンを渋く演じたショーン・コネリーは、この作品でアカデミー助演男優賞を獲得しました。
一方、アル・カポネ役のロバート・デ・ニーロは、いつもながらの、役になりきる名演で、いかにもマフィア然とした、ふてぶてしさと残酷さが全身ににじみ出ています。
当時は新進俳優だったアンディ・ガルシアも、イタリア系の新米警官を熱演。
とにかく、俳優陣は、もう、言うことナシの完璧さですね。
まさに、パーフェクト。

そして、禁酒法時代のアメリカの、あの独特の雰囲気が、スクリーンの中に見事に再現されていて。
映画全体のトーンも、いかにもギャング映画らしく、暗さと豪華さを兼ね備えています。
美しさと汚さ、優雅さと残酷さ、優しさと無情さ。
この両面をうまく使い分けた、メリハリの利いたシーン構成には、思わず、感嘆の溜息が。
それは、デ・パルマ監督の美意識にも通じるのでしょうが、残酷さを、あえて、観客に堂々と見せてしまう。
迸る赤い血の海も、それは、ひどく残酷なものでありながら、どこか、画面の中に、美しさというか、美を求めようとしているように思えます。
(それは、綺麗なもの=美、というものではなく、画面として構図として美しいかどうか、という点にこだわっている、という意味なのですが)
とにかく、あらゆるシーンの中に、ああ、デ・パルマだなあ、と思える部分があって、そういう監督の美意識が私は以前から好きですし、信頼すらしているというか。
デ・パルマ監督が撮る作品には一貫したトーンがあり、それはゴシックでもあり、昏い美しさに常に満たされているからだと思うのです。

映画史上に残る名場面として名高い、駅の大階段での銃撃戦も、やはり、何度見ても、ハラハラしてしまいますね(><)
家庭人として、子供が生まれたばかりの父親としてのエリオット・ネスと、捜査官としてのネスとの内面の葛藤が、進み行く時計の針とともに、緊張感を増してきて。

私がこの映画を初めて見たのは、ちょうど、ケビン・コスナーにものすごくハマっていた頃。
映画館で、映画も見たのに、『ダンス・ウイズ・ウルブス』のLDが発売されたときには、一瞬、躊躇しながらも、一万円以上する、その四枚組みのLDを買ったほどでしたもんね((^^;;
(当時の、映画のLDは、本当に高かったのです・・・(;;))
ケビン・コスナー出演作品は、たとえ、どんな端役であろうとも、見尽くす勢いだった頃です(笑)
ビデオもかなり買い集めましたしね★

そのときでも、(当時は大好きだった)ケビン・コスナーが出ているという理由だけじゃなく、映画として、この作品は素晴らしいものだと思っていましたが。
ここまで完璧な作品というものは、いくら、大監督でも、なかなか無いんじゃないかな、と思います。
血生臭いシーンもOKなら、本当に、この映画は見て損はナシ!ですヨ(><)

ところで、エリオット・ネスは、実際にあった、このアル・カポネ逮捕の一件で、一躍有名になった実在の人物ですが。
でも、もう、エリオット・ネスと言えば、この『アンタッチャブル』で見た、ケビン・コスナー演じる、ネスが強く私の中ではイメージされていたのですよね。
そのエリオット・ネスが、フィクションのはずのミステリにいきなり出てきて、混乱しそうになったことがあります(笑)
『黒衣のダリア』では、主人公の私立探偵の友人役で、ネスが出てきます。
このシリーズ自体が、現実に起こった未解決事件を作者なりにフィクションを絡めて書いているものなので、(他に実在の有名人では、リンドバーグが出てきて、主人公の私立探偵に、あの誘拐事件の解決を依頼したりしますし)そういうことになったのでしょうけれども★
でも、読みながら、作中にネスが出てくると、もう、私の頭の中では、それはケビン・コスナーになっていたのでした(笑)

このシリーズ『黒衣のダリア』と『リンドバーグ・デッドライン』については、eS!BOOKSだけでなく、過去の読書日記でも書いています。
◆読書日記バックアップ
2003/10/7付けと、10/20付けの日記です。

[AMAZON]
アンタッチャブル...The Untouchables special collector's...

a0019299_22394944.jpg
[PR]
by akiko_mama | 2004-11-09 09:33 | 映画
ナインス・ゲート
『ナインス・ゲート』
原題;The Ninth Gate
1999年 スペイン・フランス

ニューヨークで、多少汚い手を使いながらも、古書売買をしているコルソは、ある日、古書コレクターであり、得意先の富豪から、中世に書かれ、今は世界に三冊しか存在していないという、禁断の悪魔の書「ナインスゲート(影の王国への九つの門)」の一冊を手に入れたので、その真贋を確かめるための鑑定を、巨額の報酬とともに依頼される。
ヨーロッパにあるという残りの二冊と比較をすれば、その本が贋作かそうでないかが分かるというのだが、コルソが行く先々で、その本の挿絵に描かれた通りの残酷な遣り方で、殺人が行われていき・・・。
悪魔が書いたと言われる古書を巡る、ゴシック・ミステリー。

私がこれを見たのは、まず、何よりも、ジョニー・デップが主役の映画だったからです(笑)
ジョニデって、ほんと、こういう、胡散臭い役が似合うんですよねえ(><)
顔の作りとしては、本当に整っている人だと思うんですが、同じ整った顔でも、ジュード・ロウとかとは、醸し出す雰囲気がまるで違って。
怖いはずの映画なんだけど、ジョニデが出ると、どこか、それが単に怖いだけじゃなくなるというか。
『スリーピー・ホロウ』を見ても、分かると思うんですが、彼の役柄が持つ、胡散臭さが、板についていながらも、全く、嫌味がないというか。
それに、どんな非現実的な状況が描かれていたとしても、ジョニデが直面している事態には、嘘臭さが無いんですよね。
そこが、どんな世界であろうとも、その場面に見事に調和して、溶け込んでいるというのは、もう、彼自身の本能的なものなのかも。
たとえば、他の役者さんが演じたら、この役や、このシーンは、どんな風になるんだろうと、ジョニデのあまりに自然な演技を見ていると、いつも思うんですが、きっと、彼以外の役者さんなら、こんなオカルトめいたシーンを生真面目に演じていても、どこか嘘くさくて、しらけちゃうんじゃないかなと。
それだけ、役者が生活している現実から、映画の世界を切り離せずに見てしまう役者さんが、ほとんどなんですが、ジョニデは、その映画がどんな世界であろうとも、見事に「しっくり」きちゃうんです。
そして、彼がいる世界、状況に、見事に観客を引き込んでくれて。
もう、それは、彼が『パイレーツ・オブ・カリビアン』みたいに、海賊であろうが、何だろうが、変わらないんですよね(笑)

そんなジョニデは、今回、古書マニアを相手に商売して、金儲けだけを考えている一癖も二癖もありそうなヤバい人。
そんな彼が、武道の達人っぽい謎の美女に守られてしまうんですが、それがまた、「しっくり」きちゃうんですよねえ(笑)
女性に守られるのが、こんなに似合う人もそういないだろうなあ(笑)
そういう意味でも、この映画は、主役のコルソにジョニデを起用した時点で、半ば成功したようなものかな、と。
まあ、それを、うまく映画の商業的な成功に持っていけるかどうかは、原作はもちろん、脚本や、編集、その他もろもろが関係してくるのですが。
少なくとも、ジョニデが出ていることによって、この独特のゴシック調の世界を作り出し、観客をその非現実的な世界へと誘う点において、成功していたと思います。

監督ロマン・ポランスキーといえば、『ローズマリーの赤ちゃん』でも有名な監督ですが。
ゴシック・ホラーが得意というよりも、ゴシック的な美を追求する人なんじゃないかなあと思います。
やっぱり、ああいう世界って、アメリカのロスの健康的な太陽の下で育った人間がイメージして作れるとも思わないし、やはり、血の中にある「昏さ」みたいなものが、根底にないと、出てこないものなんじゃないかなあ、と。
画面の端々で、監督の美的感覚が、とても生かされていたというか、妖しいほどの美しさ(それは、恐怖と紙一重のものかも知れないですが)が演出されていたと思います。

ストーリーとしては、まあ、反応もさまざまなようですが。
決して、一流映画じゃないんだけど、結構、こういう二流っぽい映画も私は好きですね((^^;;

あと、この作品を見るキッカケになったのは、実はジョニデだけじゃなく、古書を扱う話だったから、ということ。
日本の古書コレクターとは、欧米のコレクターはかなり違うと思うのです。
やはり、向こうでは、中世の頃から、立派な装丁のついた「本」が存在しているわけです。
現存する物が少ないそれらを求めて、古書コレクターが出すお金は、一般人の想像をはるかに超えています。
今回の映画にも出てくる「古書」は、いわゆる、そういう類のもの。
そんな古書を巡って、どんな映画になっているんだろうという興味もあったのでした。

古書を扱うミステリーといえば、古書好きが高じて、自分も古書店の主人になってしまう、元・警官が主人公のミステリ、ジェフ・グリーンナウェイ・シリーズの『死の蔵書』、『幻の特装本』が有名です。
本が人を狂わせるというのは、一見、馬鹿げたことのようにも思えますが、希少価値の高い古書だと、話は全く違ってきます。
それが殺人の理由にも、十分になりえるわけです。

そして、また、アメリカでの古書マニアたちの世界を描いたエッセイとしては、今までに、何度もここで挙げたことのある、『古書店めぐりは夫婦で』『旅に出ても古書店めぐり』でしょうか。
これは、古書マニアの世界を覗くには、とてもオススメで、楽しい本なのです★
目からウロコの世界というか。
この本については、ホームページのブックレビューでも、詳しく書いています。


そんなわけで、もともと、古書がまつわるものに興味もあったので、今回の映画は、そういう観点でも私は楽しんでみたのでした。


◆Amazon
ナインスゲート デラックス版Ninth Gate

a0019299_22414977.jpg
[PR]
by akiko_mama | 2004-11-08 18:30 | 映画
アメリカン・プレジデント
『アメリカン・プレジデント』
原題;The American President
1995年 アメリカ

マイケル・ダグラス演じる、アメリカ大統領シェパードは、数年前、妻を癌で亡くし、ティーンエイジャーの娘を一人で育てています。
大統領選挙も間近の、そんなある日、ホワイトハウスに招かれていた、環境保護団体のロビイスト、アネット・ベニング演じるシドニーに、大統領が一目惚れしてしまい・・・?

以前、見たときには、上質なロマンティック・ラブ・ロマンスだなあ、という好印象だったのですよね。
しかし、前回見たときの私と、今回の私とでは、この映画に対して、全く違う見方をしていました。
それは、今では、私がすっかり、海外ドラマ『ホワイトハウス』(原題;The West Wing)のファンになっていたからです(笑)

まず、最初に流れるテロップで、『ホワイトハウス』総指揮・脚本を手がけているアーロン・ソーキンが、この『アメリカン・プレジデント』の脚本を書いていたと知り、そうだったのか!と。
映画を見ていくと、ドラマのカラーや作りが、この両者では、あちこちで共通しているんですよね。
民主党出身の大統領という設定だったり、執務室での状況や、票獲得に奔走する周囲のスタッフなども丁寧に描いているシーンとか。

そして、新聞のTV欄を見て、この映画にマーティン・シーンが共演しているのを知り、主役の二人、マイケル・ダグラスとアネット・ベニングのことしか覚えてなかったので、そうだったんだっけ?と驚いたのですが、実際に映画を見ると、つい、吹き出しそうになってしまいました((^^;;
だって、すっかり、ジェド・バートレット大統領のイメージが私の中では定着してしまっているマーティン・シーンが、首席補佐官役(『ホワイトハウス』で言えば、レオの役)というのは、何だか、しっくりこないというか、座るのは、そこじゃないでしょう、大統領、とツッコミたくなってくるというか(笑)
(一時は、TVにブッシュが大統領として出ていても、違和感すら感じたほどで(笑) 第2シリーズが毎日、二話ずつ再放送されていたのを見ていた頃だな~。もう、それだけ、あのドラマのイメージが強烈に染み込んでいたわけですね★)

その上、『ホワイトハウス』では、いつもシチュエーションルームにいる、国家安全保障担当補佐官を演じている、大柄な年配の女優さんが、『アメリカン・プレジデント』では、報道官役(『ホワイトハウス』でのCJ役)を演じていて、いろいろと、ややこしい・・・(笑)
(つい、もう、これ以上、被る役者さんは出ないよね?という目で見てしまいました★)
それに、マーティン・シーン演じる首席補佐官は、CJではなく、AJだし(笑)

しかし、映画のストーリーは、『恋人たちの予感』などで、大人のラブ・コメディを描くならおまかせのロブ・ライナー監督だけあって、確かに主人公は大統領なんだけれど、そういう唯一無二の職業の人だからこその、恋物語をとても楽しく描いています。
『ホワイトハウス』では、コメディ要素も盛り込まれてはいますが、もっと、政治内部を描くことがドラマの主体になってますからね。

エネルギー法案とか、支持率とか、上院下院とか、政治のことは難しくてよく分からない、という場合でも、大丈夫。
王子様に、見初められてしまう、町娘・・・というには、ちょっと、二人とも年を取っているけれど、大人の魅力も充分な、上質なラブ・ロマンスに仕上がっています。
王子様に求婚されるなんて、夢見る女の子なら、誰しも、考えることでしょうけれど、まさに、アメリカ大統領に求婚されるなんて、これもまた、現代のシンデレラ・ストーリーですもんね★

はっきり言って、マイケル・ダグラスが大統領なんて、ハンサムだし、背は高いし、リーダーシップもありそうだし、もう、国の代表としては言うことなしなんじゃないかと思いますが、愛する女性に花を贈ろうと、秘書にまかせにせずに、花屋に自ら電話してみたのだけれど、冗談だと受け取られてしまって、うまく行かずに悩んでしまうところとか、そういう人間味溢れる大統領の描写が、ああ、やっぱり、アーロン・ソーキンの脚本だな、と。
政治という、駆け引きと野望が渦巻く世界でも、人間を描くことを決して、忘れないんです。

アネット・ベニングは、決して若くはないけれど、大人の女性の可愛らしさを持った女優さんですよね。
とてもチャーミングで大好きな女優さんの一人です。
ステキな大統領に告白されて、戸惑いつつも、惹かれていくシドニーを好演しています。

こういうストーリーや映画の雰囲気って大好き。
このロマンティックな、大統領とのラブ・ロマンスは、私もオススメの五つ星ですヨ。


[AMAZON]
アメリカン・プレジデントTHE AMERICAN PRESIDENT

a0019299_22425217.jpg


ちなみに、海外ドラマ『ホワイトハウス』は、現在、NHK-BS2で第3シリーズが放映中。
アメリカでは1999年から放映され、2004年現在は第6シリーズが放映中の、エミー賞を四年連続で獲得したという、人気ドラマです。

◆NHKの海外ドラマ『ホワイトハウス3』
http://www3.nhk.or.jp/kaigai/wh3/index.html
[PR]
by akiko_mama | 2004-11-02 09:36 | 映画
ナイル殺人事件&地中海殺人事件
『ナイル殺人事件』
原題;Death on the Nile
1978年 イギリス

言わずと知れた、アガサ・クリスティー原作のミステリの映画版です。
(原作本の原題は『ナイルに死す』)
主役の私立探偵、エルキュール・ポワロを演じたピーター・ユスチノフが今年の三月に亡くなりましたね(;;)
イギリス製作のTV版でポワロを演じているデイヴィッド・スーシェも良いんですが、やはり、一番最初に見たポワロが、映画版のピーター・ユスチノフだったせいか、スーシェ版ポワロは、ちょっと軽く見えてしまい・・・((^^;;
貫禄から言えば、私は、ポワロと言えば、ユスチノフ派かなあ。

この映画、もう、今までに、何回も見て、犯人もトリックも覚えてしまっているんですが、また見てしまいました。
やっぱり、あの、悠久の都・カイロを映画の手法で見てみたかったり、あと、ブルジョアたちの豪華で優雅なバカンスを見たかったからかなあ((^^;;

音楽は映画『ロミオとジュリエット』の物悲しい旋律でも有名なニーノ・ロータ。
ここでも、スケールの大きな、そして、少し寂しげなメロディで、この優雅なミステリに華を添えています。

ところで、70年代から80年代前半って、映画にブームがありましたよね。
「八つ墓村の祟りじゃ~!!」のキャッチコピーで一躍、話題になった、横溝正史物のカドカワ映画もそうですが、このアガサ・クリスティの一連の映画もそうじゃなかったですか?
イギリス以外の場所が舞台となったミステリをわざと選んで映画化していたのか、半ば観光気分も味わいつつも、優雅なバカンス地でのミステリも楽しめる、この一連の映画が、日本でも、ヒットした記憶があるんですが。
『地中海殺人事件』(1982年)しかり、『オリエント急行殺人事件』(1974年)しかり。

きっと、日本では、まだ海外旅行が、今ほどメジャーなものではなく、外国の生活や風景を見るには、『兼高かおる世界の旅』か、『なるほど・ザ・ワールド』ぐらいしか無かった頃、これらの映画が、外国ってこんななんだ、とか、外人のバカンスってこんななんだ、と思える貴重な映画だったのでしょうね。
まさに、その期待に応える、グランド・ロマンだったと思います。
今なら、映画でこのミステリを今更、撮ることはまず無いし(撮るならTV映画になるでしょうし。そうなると、スケールが全く違ってきますもんね)、もう、こういった、独特な雰囲気を醸し出すことも難しいんじゃないかなあ、と思います。

[AMAZON]
ナイル殺人事件DEATH ON THE NILE

a0019299_22445969.jpg


『地中海殺人事件』
原題;EVIL UNDER THE SUN(白昼の悪魔)
1982年イギリス

前作『ナイル殺人事件』に引き続き、ピーター・ユスチノフがポワロ役で出演しています。
しかも、他の出演者も『ナイル・・・』と被っていて(もちろん、同じ役柄ではないですが)、何だか、パラレル世界みたいで、それも楽しめます。
綺麗なんだけど、どこか胡散臭いジェーン・バーキンとか、いかにも堅物なイギリス人女性と言えば、この人、みたいなマギー・スミスとか。
以前、『ムッソリーニとお茶を』を見たときに、マギー・スミスが、とても見覚えのある女優さんだったのは、きっと、小さい頃から、このクリスティ作品の映画を見ていたせいで、顔が刷り込まれていたのでしょう(笑)
それにしても、ジェーン・バーキンといい、マギー・スミスといい、よっぽど、クリスティの小説世界にぴったりの女優さんなのかな((^^;;
(一筋縄ではいなかそうなところとか★)

そして、この映画のオススメ・ポイントは、何と言っても、コール・ポーターの音楽です。
スタンダードな名曲を幾つも発表している、作曲家コール・ポーターのしゃれた音楽が、映画全編を彩っていて、(これから、殺人が起こると誰もが分かっているのに)、あえて、とても優雅で、かつ、南ヨーロッパでのバカンスという、リラックスしたムードさえ、カンジさせてくれます。
ニーノ・ロータの物悲しい旋律とは違った、ジャズの要素すら盛り込んだ明るいトーンの音楽は、『ナイル・・・』とは全く違った印象を映画に与えてくれていますね。
やっぱり、音楽って大事なんだなあ(><)
そして、ユスチノフ演じるポワロが、水着に着替えて、いざ、「進水式」・・・!
というシーンの音楽と言ったら(笑)
もう、象の行進かとも思うほどで((^^;;
(これは必聴デス★)

この作品も、やはり、何度も見ているので、犯人もトリックも全部覚えているのですが、それでも見てしまいました。
理由は、『ナイル・・・』と同じで。
やっぱり、良い映画は、たとえ、筋が分かっていたとしても、それ以外でも見所はたっぷりとある、ということでしょうか★

◆AMAZON
地中海殺人事件EVIL UNDER THE SUN

a0019299_22472736.jpg

[PR]
by akiko_mama | 2004-11-01 18:50 | 映画