2005年 09月 07日
『NY検事局』
原題;Night Falls On Manhattan (1997年・アメリカ) 元警察官で、今は、NY検事局の検事補として働くショーンは、麻薬密売人・ワシントンによる警察官殺害事件を扱うことになり、その法廷での活躍を認められ、晴れて、ショーンは検事局長に選出された。 華々しい出世だったが、ワシントンが法廷で洩らした、警察官の汚職についての疑惑は消えてはいなかった。 内部監察が入り、麻薬密売人から賄賂を得ていた警官が誰だったのか、捜査が始まった。 法廷では、否認された贈収賄容疑だったが、次々と新事実が現われ、正義を求めようとするショーンの前へ影を落としていき・・・。 アンディ・ガルシアが、理想と現実の狭間で苦悩する、若き検事補を熱演。 そして、このオジサン、誰だっけ、と思って、法廷の弁護士役を見ていたら、リチャード・ドレイファスでした((^^;; 最初は、アップが無くて、くちゃくちゃの白髪しか見えなかったのよー。 出番は少ないけど、美味しい役どころを演じてます。 [続きを読む] #
by akiko_mama
| 2005-09-07 20:28
| 映画
2005年 09月 03日
『BSこだわり館 THE・少女マンガ! 作者が語る名作の秘密』
CIPHER ~成田美名子~ (NHK-BS2) やってきました! 今回の3回シリーズで、実は、一番楽しみだった回です。 というのも、かつて、成田美名子先生(以下、敬称略)がメディアに出てきたことって、無かったと思うから。 私も、今回初めて、お顔を拝見しましたが、ああ、こんな方だったんだ~、と思った次第です。 物静かな、とっても可愛らしい方ですよね。(年上の方に失礼ですが((^^;;) もう、何年も前に、実家に住んでいた頃、同じ市内にあったマンガ専門店で、珍しく、成田さんのサイン会があったことを、あとで知り、行きたかった~(><)と地団駄を踏んだこともありました☆ (今回の番組でも、そのときの写真が出ていましたね。書店名がバックに・・・) 成田さんも、私にとっては、特別なマンガ家さんです。 一番最初に、成田さんのことを知ったのは、友達から『LaLa』本誌を借りて読んだときかな? その時点では、たぶん、「あいつ」の連載中だったかと。 その後、「エイリアン通り(ストリート)」の連載が始まって、それから、大ファンになっていき、今に至ると。 今回の番組で、入院中だった従姉妹のお見舞いを買うお金が欲しくて、デビュー作となる「一星へどうぞ」を投稿した、というエピソードが紹介されたのには、ビックリでした((^^;; 従姉妹のちあきさんのことは、よく、名前が出てくるので、知っていましたが、まさか、そんな経緯がお二人にあったとは思いもしなくて・・・。 確か、その、「一星へどうぞ」も、私は雑誌で読んだ覚えがあります。 『LaLa』を私に教えてくれた友達が、昔の本誌を大事に持っている人だったので、借りて読んだんですよね。 もう、それを見て、高校生のデビュー作が、こんなに上手かったのか!とオドロキでした。 そして、「エイリアン通り」連載開始直後ぐらいから、自分でも『LaLa』を買い始め、かなり長い間、買っていましたが、やっぱり、いつも、雑誌を買ってきて、一番楽しみだったのは、成田さんの作品だったし、一番、驚きを与えてくれるのも、成田さんでしたね。 やはり、「エイリアン・・・」は、特別だったと思うんです。 その作品が連載された当時にしては、とても珍しかった、アメリカの生活を細かく描いている点には、毎回、驚かされて、まるで、アメリカを舞台にしたドラマを見ているようでしたもの。 当時、海外の情報なんて、今ほど入ってきてなかったし、海外ドラマも、そんなに放映してなかった頃だったから。 だから、誌面に描かれた何もかも全てが、とっても、カッコ良く、魅力的に見えて。 その上、主人公である、美少年のシャールくんは、いつも、キラキラしていましたし~(笑) 「エイリアン通り」は、アメリカへの憧れと、個性溢れるキャラクターたちの生き生きとした活躍が、ぎっしりと詰まったマンガだったと思うのです。 カレンダーも毎年、買ってました~。 成田さんのカラーは、とても綺麗で、服や雑貨の細かい部分まで細部に渡って、丁寧に、そしてリアルに描かれていて。 カラー原稿一枚をとっても、毎回、成田さんが描かれるものには驚かされてましたね。 それだけの驚きを、毎月、『LaLa』誌上でもらっていた「エイリアン通り」だったので、これは、それを読んでいた年齢にも関係しているのでしょうが、私にとっては、むしろ、「CIPHER」よりも、「エイリアン通り」のほうが、印象が鮮明で、強かったりします。 受けた影響も大きかった気が。 ある意味、カルチャーショックを毎回、受け続け、刺激を与えられていたマンガでしたから。 次に『LaLa』誌上で連載となった「CIPHER」でも、毎回、楽しませてもらってましたが、その「楽しみ」が、「エイリアン・・・」とは、違ってきていたかな? 番組内でも成田さんが語っていましたが、作品のテーマが、夢のような世界を描いていた「エイリアン通り」とは、明らかに違ってきてましたもんね。 アメリカン・ライフを描いてはいるんだけど、そこに描かれているのは、少女たちの憧れを具現化したキラキラしいものじゃなく、地に足をつけた人間の、つらい過去を抱えながらも、生きていこうとする姿でしたから。 生活習慣や言葉が違っても、シヴァもサイファも、私たちと同じ気持ちを持っている人間なんだ、悩みもすれば、苦しむこともある、ということが前面に押し出されていた気がします。 その後、成田さんが描いていくマンガの、一本のゆるぎない芯が、ここで確立されたというか。 主人公たちが、いろんな人と出会い、さまざまに人と関わっていくことで、成長していく青春模様を、その舞台がアメリカや日本、どこになろうとも、ずっと、描き続けていますよね。 主人公たちは、いずれも等身大だし、つらいことがあっても、諦めない。 その様子がとても真っ直ぐに描かれていて。 私にとって、青春という時代が遠くなった今でも、やはり、成田さんのマンガを読むことで、その時代特有の熱さを思い出すというか。 愚直なまでに、ストレートな直球で迫ってくる物語が、胸に、ぐっと熱いものを感じさせてくれる。 成田さんは、正攻法という言葉が似合いそうなほど、どの作品でも、友情とか、勇気とか、優しさとか、そんなありふれた感情を真っ直ぐに捉えて描いていける作家さんだと思うのです。 ところで、成田さんといえば、いろいろな趣味(ハマってること)について、いつも、単行本に、いっぱい描かれてますよね★ 昔は、M・ジャクソンや、トンプソン・ツインズ(私も成田さんの影響で、ハマりましたよ!)、ブラック・ミュージック、それから、アメリカのNBAを経て、今は、お能と。 今まで、御本人のお写真も見たことがなかった成田さんでしたが、そうやって、今は、何に関心があって、何にどっぷりハマってるかを、詳細に書き続けてくれる方でしたから、そういう点でも親近感があったというか。 偉いマンガ家さん、というよりも、年上のお姉さんみたいなカンジ。 そして、いつも、時代を先取りされていて。 そういう点で、ある意味、ファッション・リーダーじゃないですが、成田さんのハマっていることに、いつしか、読者も、引きずられるように、ハマっていくんですよね~(笑) 作品内で、その趣味が生かされている(?)からかも知れませんが★ 今は、お能にどっぷりの成田さんですから、「花よりも花の如く」を読むことで、私を含めた読者もまた、成田さんの御趣味であるお能に、知らぬ間に、通じていくという(笑) 「私についてきて~」と成田さんが旗を振って、みんなの前を歩いていく、みたいなカンジですかね? そして、後をついていった私たちが、へえー、ほおー、と言いながら、いろんな場所を見せてもらう、というか。 そんな身近な存在にも感じてしまう作家さんって、成田さんしかいないなあ、と思うのですよ。 そういえば、話はまったく変わりますが、「エイリアン通り」のシャールくんの本名、「シャール・イダニス・モルラロール」が、C・L・ムーアというSF作家の、『大宇宙の魔女』、『暗黒界の妖精』、『異次元の女王』という、ノースウェスト・スミスシリーズに出てくる神様の名前というのは、今のファンの方などは御存知なのかな? CLムーアの本自体、今は絶版ですもんね~((^^;; これは、80年代前半に、一部のファンの間では、かなり人気のあったSFなのです★ 私が、「エイリアン通り」を読む前に、このNW・スミスのシリーズを買っていたのは・・・表紙が松本零士で、挿絵に描かれた、主人公のNW・スミスが、もろ、キャプテン・ハーロックだったから(爆) いや、そういう理由で、ハーロックのファンには、結構、知られた作品だったのですよ~。 NW・スミスの相棒である、ヤロールが、信仰している神様の名前として、よく、作中で呟かれていたのが、「シャール・・・」だったのです。 そして、このヤロールが、シャールくんのモデルになったとか、ならないとか★ もちろん、松本零士の挿絵では、全然、違うんですけども。 でも、文中の描写では、金髪の綺麗な青年で(でも、異星人だから、耳は尖ってたと思う・・・(笑))。 ちょっと意地っぱりなところとか、シャールくんに似てるかな・・・? まあ、そういう「エイリアン通り」関係のことが無くても、このNWスミス・シリーズは、幻想的な異世界を描いた、素晴らしいSFで、松本零士の描く女性も、見事にマッチしていた作品でした。 実家に置いてあるので、また読みたくなってしまいました★ 何だか、いろいろと、取りとめもなく書いてしまいましたが((^^;; それだけ、成田さんには、個人的な思い入れがあるということなのですよね~★ まだまだ、いっぱい、書き足りないことがあると思うもん(笑) 今回、番組を見て、今まで、作品やコメントを通じてしか知らなかった成田さんの姿を見て、また、さらに、成田美名子という作家が好きになったというか。 また、新しい視点で、「エイリアン通り」とか「CIPHER」を読み返してみたいなと思いました。 現在、「メロディ」に連載中の『花よりも花の如く』については、本の森の冒険に、単行本の紹介コメントを書いたりしてます。 これからも、成田さんの作品は、ずっと読み続けていきたいし、そこで描かれる世界に、どっぷりとハマっていきたいなとも思うのです★ #
by akiko_mama
| 2005-09-03 13:03
| TV
2005年 09月 02日
『BSこだわり館 THE・少女マンガ! 作者が語る名作の秘密』
星のたてごと ~水野英子~ (NHK-BS2) 以前、『BSマンガ夜話』に「星のたてごと」が取り上げられたときにも、思ったことですが、このマンガは、少女マンガの第一歩を決定づけた、記念すべきマンガなんだなあ、と。 (ちなみに、その晩の『マンガ夜話』では、なんと、FAXが3枚しか来なくて、うち一枚は私の絵でしたが・・・) でも、昔の私には、そんな意識は全く無くて、何も知らないまま、幼少の頃、この「星のたてごと」(一番初期の朝日ソノラマ版)を買ってもらっていたんですよね。 それが、実は私が生まれる、ずっと前に書かれたマンガだったことも知らずに。 「星のたてごと」は、私にとっても、初めて買った少女マンガのうちの一つだったんじゃないかな? それまでは、アニメを見て、「海のトリトン」を買ってもらったぐらいだったから。(←でも、これは、アニメとは全く違う展開の、大人向けのマンガだったんですが(><) だって、トリトンがお父さんになって、ピピとの間に7匹の子供が生まれて、最終巻では、その子供のうちの1匹が主人公になっちゃうんだもん~っ) いや、まあ、トリトンは、この際、どうでもよくて((^^;; この番組の中のインタビューで、里中満智子先生や、竹宮恵子先生が、まだ小学生の頃に、この「星のたてごと」を読んで、とても影響を受けたという話を聞いて、ますます、すごいマンガだったんだ、と改めて思った次第です。 もちろん、水野先生が、あの「トキワ荘」に唯一、女性のマンガ家として住んでいた方、という点だけでも、驚くべきことではありますが★ 絵を描くのは、小さい時から好きだったらしく(4歳のときには、ウルトラマンを描いてた)、ちょうど、「ベルばら」ブームの頃、当時、小学四年生くらいだった私も、その華麗な世界を真似て、綺麗なドレスのお姫様の絵を、いっぱい描いたりしていたのは覚えているのですが、「星のたてごと」を読んだのは、まだ、小学校低学年だったので、その絵を真似て描いたことは一度も無かったと思うんですよね。 だから、『マンガ夜話』用にFAXを描いて送るときも、はて、いったい、誰を描けばいいんだろうと思って(笑) リンダとか、ユリウスは、私にとっては、真似して描く、というキャラじゃなかったし・・・。 それで、登場人物の中でも、昔から大好きだった、リンダのお父様、伯爵さまを初めて描いて送ったという・・・。 地味な選択だったなと、あとで思いましたが(笑) だって、昔、このマンガを読んでいたときも、ユリウスにときめいたりは、全然しなかったんだもん~((^^;; むしろ、一番、ときめいて、好きだったのは、実は、リンダのために、怪我をして囚われ、鞭打たれてしまうお父様、シャロット伯爵だったのでした・・・。 そうか、この頃から、私のオヤジスキーが芽生えていたのね! (小学校低学年の頃からの、肝いりだったか) 次に好きだったのは、ユリウスの義兄だったかな? うーん、やはり、王道には行かないなあ・・・((^^;; でも、私の中では、今、改めて考えてみると、「星のたてごと」からは、絵よりも、むしろ、その壮大なストーリーに、大きな影響を受けたかな、と思うのです。 もちろん、絵も、スクリーン・トーンをほとんど使用しない、シンプルな線なのに、ゴージャスで、古代の歴史ロマンスという世界がとても素晴らしく、描かれているマンガなのですが。 竪琴を奏でる、旅の吟遊詩人・ユリウスと、伯爵の娘、リンダとの恋。 でも、彼は、実は、敵対する隣国の人間であり、さらに、時をさかのぼれば、神の娘であったリンダが、傷つき、死の国へ赴こうとしていた前世でのユリウスに恋したことから、始まっていた。 そして、父神の怒りに触れて、地上に落とされたリンダには、ある使命が課せられていて・・・。 黄金の指輪を巡る、壮大なロマンス。 国を操ろうとする大人の思惑により、何度も引き裂かれてしまう二人の恋人の運命と、二転三転していく物語が含有する、圧倒的なスケールの大きさ。 この、とても奥深いストーリーが、まだ、「少女マンガ」というものが、生まれてまもない、1960年という時代に発表されたということが、後の少女マンガ界を担う世代に大きな影響を与え、「少女マンガ」の枠を大きく広げたというのも、頷けることです。 むしろ、それまでの「少女マンガ」とは一線を画した、このマンガが彗星のごとく登場したということ自体、奇跡のような気がしますが。 その記念すべき不朽の名作といわれる作品を、何も知らなかったとはいえ、幼少の頃に読んでいて、それが、幼かった頃の自分に大きな影響を与えて、今でも、とても深い場所で息づいているというのは、嬉しいことです。 やはり、私にとっては特別な作品というか、今も、あの絵を見ると、他の作品にはない、ときめきを感じてしますもんね(><) 小さいときには、このストーリーに似たお話を勝手に作って、よく、一人でお人形遊びもしていましたし☆ そうやって、何度も、このお話を自分なりになぞって、無意識に反芻していたんでしょうね~。 そして、「星のたてごと」掲載から、45年が経った今。 65歳になられた水野先生は、今も、まだ、丸ペンを握って、ケント紙に綺麗なイラストを描かれていました。 65歳という年齢で、マンガを描いてらっしゃる女性って、他にいるでしょうか! そのお年でも、全く、絵柄は変わっていなくて、今も、昔と変わりなく、繊細で、華麗なロマンスに彩られた絵を描いてらっしゃって、本当に驚きでした。 まるで、時間が止まってしまったかのような。 普通、マンガ家って、絵がどんどん変わっていくものなんですよね。 慣れからか、ベテランにもなると、大まかな、崩れた絵になってしまうというか。 でも、水野先生は、二十年ほど前の絵柄と、全く変わってない。 ただ、今の出版業界では、水野先生のマンガを掲載しようという雑誌は、残念ながら無く、連載途中で掲載誌が廃刊となった『ルードヴィヒ二世』も、2巻で刊行が止まったままだとか。 そんな状況の中で、水野先生は、どこかに掲載される予定もないまま、今も、イラストやマンガを、マイペースで描き続けてらっしゃるそうです。 この番組で、それを知り、この方は、マンガ家というよりも、芸術家なんだなあ、と思いました。 自分が描きたいもの、つまり、夢やロマンスに満ちた世界を永遠に描き続ける人なんだ、と。 出版形態も、さまざまに変容しつつある今日、少女マンガの原点とも言うべき、水野先生の作品を、雑誌掲載でなくとも、何らかの形で、もっと読んでみたいって人は、私のほかにもいるんじゃないかな、と思うのですが。 (先生の、ほとんどの作品が、現在は入手不可能か、絶版状態なので) これだけ描ける人を、このまま、放っておくのは、不遜ながら、もったいないと思うし、大きな損失なんじゃないかと思うのです。 数十年前とは違い、マンガは細分化され、もう、子供のものだけじゃなく、大人に向けて描かれたマンガも、ちゃんと成立している時代です。 「星のたてごと」を読んで育った世代、そして、そのマンガを知らない世代にも、もっと、水野先生の活躍を見てもらえればいいのにな、と思いました。 #
by akiko_mama
| 2005-09-02 09:48
| TV
2005年 08月 31日
『BSこだわり館 THE・少女マンガ! 作者が語る名作の秘密』
愛のアランフェス ~槇村さとる~ (NHK-BS2) 前回の3回シリーズから見ていたこの番組。 今回は、8/29から3回放送ということで。 槇村さとる先生は(以下、敬称略)、しばし、ハマっていたマンガ家さんでした。 と言っても、今回、主に取り上げられた『愛のアランフェス』ではなく。 持っていたのは、『ダンシング・ゼネレーション』から『NYバード』、そして『ダイヤモンド・パラダイス』あたりまで。 レディースに移られてからは全く読んでないので、分からないのですが。 ただ、人気作『愛のアランフェス』からの流れで、今度はモダン・ダンスを取り入れた(スポーツ)マンガが気に入っていたのは、ダンスの好きだった女子高生という主人公が、自立しながら、夢を追い続け、栄光と挫折の繰り返しの中で、自らの夢を掴み取ろうとする、その勝気さ、強さが自分もほしかったせいかもしれない、と今では思うのです。 ちょうど、自分も、そんな年代だったから。 この、槇村さとるという作家は、昔から、絵がしっかりしていて、綺麗だったけれど、どこか、全体的にドライな人だな、という印象はありました。 ダンスというスポーツ物(?)を描くからには、画面の中では、汗が飛び、ハツラツとした身体の動きがあるのに、そこに描かれる人間関係は、とてもドライ。 そこがまた、スタイリッシュで良かったのかも知れませんが。 今回の番組で、その後、しばらくして、槇村さとるに不遇の時代が訪れ、精神的にもボロボロとなり、本人が記憶障害にまでなっていたというのは、驚きでした。 初めて出したエッセイの中で、自身の生い立ちについての告白をされていたのを読んでいたので、あのマンガを描いていたのは、こういう人だったのか、と少しは分かったつもりでいましたが。 でも、あれから、さらに、いろいろあり、個人としてもマンガ家としても、復活も遂げて、レディースのほうで描いたマンガが、何本もTVドラマ化され、しかも、6年前には、性人類学者の方と、対談をきっかけに、43歳で結婚されていたというのを、先日知って、さらにビックリ。 しかも、そのパートナーとは、一緒にエッセイ本も出して、今では、AMAZONで見ると、マンガよりも、かなり上位に食い込んでいるほど。 それまで、少女マンガの世界では、驚くほど早くから、自立した女性を描いていた槙村さとるが、マンガの中に込めていたメッセージが、今度は、そのマンガを読んで育った世代に向けて、自らの結婚観や恋愛観について、エッセイで、パートナーとともに語り続けてくれている。 今回の番組を見てみても、やはり、槇村さとるとは、特殊なマンガ家だな、という印象を持ちました。 本人の、逆境に耐えながらも生きてきた、その意思の強さが、マンガの中に「生き様」として、そのまま現れている。 それは、描きたいのが、マンガとしてのキャラクターとしてでも、物語でもなく、自分が読者に伝えたいことを描くのだ、という、そのための手段であるマンガ。 番組の中でも紹介されていた、ストーリーを作るにあたって、まずは、伝えるべきメッセージは何か、という点から考え始め、徐々にストーリーを作っていくという、特殊な方法(こんなことをしているマンガ家が、他にいるのか?)からも、それは明らかでは? 普通、あるシーンとか、登場人物の会話とか、こんなキャラクターが描きたいとか、こんなストーリー展開を書きたい、とか、そういう点から、物語というものは、骨子を作っていくものだと思っていたので、槇村さとるの手法には、本当に驚くばかりでした。 だからこそ、メッセージ性の強いマンガとして、読者にインパクトを与えるんでしょうね。 7月に発売になったばかりの対談集。 わたなべまさこ、山岸涼子など、先輩マンガ家から、岡田斗司夫、柳美里など、さまざまなジャンルの人と対談しています。パートナーのキム・ミョンガンさんとの結婚についての対談も。 こういう仕事をしている女性マンガ家、というのも、やっぱり、珍しいと思う・・・。 #
by akiko_mama
| 2005-08-31 01:26
| TV
2005年 08月 28日
このところ、あまり映画を見ないので、最近見た、印象的なTVのことなど。
アメリカのTV局、ABCのワールド・ニュースが時折、NHK-BS1で流れるので、好きでよく見るのですが。 その中で、先日、たまたま見たのが、映画『ホテル・ルワンダ』で主演したことがきっかけで、先月、映画のプロモーションのために、ルワンダを訪れたという、俳優ドン・チードルのルワンダ・レポートでした。 以前、ABCのドキュメンタリーに協力したことが、きっかけで、ドン・チードルが、今回もルワンダ・レポに協力したとのこと。 今回、ドン・チードルは、幼い娘たちと奥さんとともに、ルワンダを訪れていました。 そして、家族とともに、現在、ルワンダに住む子供たちの過酷な状況を、彼らから直接、話を聞くという形でインタビューが始まりました。 ルワンダでは、夜、子供たちが寝ている間に誘拐されていくというのです。 そして、逃げることも出来ずに、レジスタンス軍の少年兵として育てられ、そこで生きていくためには、人を殺すことさえ厭わないよう、教育されてしまうのです。 実際、幼少の頃に誘拐され、少年兵として生きてきた少年の告白がインタビューで流れました。 もう、何十人殺したか、覚えていない、と彼は言いました。 でも、そうしなければ、自分がレジスタンス軍の中で生かしてもらえない。 だから、何の罪もない人々を、理由もなく、ただ殺してきたのだと。 一方、幼い少女たちはレジスタンス軍に誘拐され、兵士たちの妻にされてしまうということでした。 まだ、女性でもない彼女たちを、無理矢理。 そんな少年少女たちが、今では、NPOに何人も助け出され、NPOのテントで更正に向けて暮らしていました。 でも、非日常的で残酷な日々を過ごしてきた彼らの心が休まり、普通の生活に戻るには、長い時間がかかるそうです。 我が子を誘拐されないために、親たちは、夕方になると、子供をNPOのシェルターに向かわせていました。 夜、NPOの大きなシェルターには、何十キロも離れた村から、何時間もかけて歩いてきた子供たちが何百人と集まってきます。 狭くて堅い床に雑魚寝のようにして寝ることになるけれど、攫われるよりは良いからと。 そして、子供たちは無事に朝を迎えると、今度はまた、何時間もかかって、村まで歩いて帰るのです。 そのあとで、学校に行く子もいました。 毎晩、こんな生活が続くのです。 自分の家ですら、安眠できない子供がいるという、この国の現状。 一緒に、この話を聞いていたドン・チードルの下の娘さん(七歳か八歳くらいかな?)は、その晩、眠れなかったと言います。 そして、「パパ、アメリカでも、こんなことが、いつか起こっちゃうの?」と尋ねたとか。 やっぱり、同じ年代の子供が、世界のどこかで、こんな境遇にあったことは、幼い彼女にとっては、とてもショックだったことでしょう。 ルワンダでは、また、エイズで死亡する率も高く、両親がエイズで亡くなり、孤児となってしまう子供たちも多いとのことでした。 ドン・チードルが主演した『ホテル・ルワンダ』とは、1994年のルワンダ大虐殺を描いた映画です。 2004年度アカデミー賞に何部門もノミネートされ、また、ナショナル・ボード・オブ・レビューや、トロント国際映画祭などでも、賞を得ました。 しかし、残念ながら、ドン・チードルを始め、ニック・ノルティ、ジャン・レノ、ホアキン・フェニックスなど、有名な俳優が出演し、高い評価を得た、この映画は、日本では公開されていません。 私も、アカデミー賞の授賞式の映像で、ノミネート作品として、この映画が紹介されているのを、ちらっと見ただけです。 日本では、現時点では、DVDも発売されていないようですし、映画配給される予定も無さそうです。 でも、そんな、この映画をぜひ見たい、という活動も始まっていることを、今回、知りました。 『ホテル・ルワンダ』日本公開を求める会です。 この映画についての解説や、活動内容なども紹介されています。 そもそもの活動の発端となったのは、ソーシャル・ネットワーキング・サイトmixi!の掲示板だったとか。 (というわけで、私もmixi!でのコミュニティに参加してみました★ だって、公開された暁には、絶対、見たいもの) ブログが世界を動かすような、そんなステキなことが起こればいいな、と思います。 ◆Cheadle Visits 'Hotel Rwanda' for 1st Time ドン・チードルがルワンダを訪れたときのABCニュースの記事です。 ◆HOTEL RWANDA Official Movie Site もちろん、英語ですが・・・。 アメリカでは、DVDが発売されています。 日本でも、発売されるといいなあ。 #
by akiko_mama
| 2005-08-28 19:37
| TV
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